第391話 【後日話題】あれから数日
あの一件以降……『にじキャラ』さんご一行は、とてもとても精力的に行動していった。
おれとくろさんのカラオケコラボに続けとばかりに、また違う組み合わせのメンバーでのカラオケや、会場に集まってのゲーム配信、どこからか早押しボタンなんかを調達してのクイズ大会、多人数でのお料理対決などなど。
今や
そんな彼らの提供するコンテンツは、回を重ねるごとにどんどんと研鑽されていき、(また手応えを感じたことで予算も増えていったのだろう)やがてはテレビのバラエティー番組と比べても決して引けを取らない、まさに『プロの域』のレベルにまで到達していった。
そんなとてもおもしろいコンテンツを提供する『にじキャラ』と所属
もともと多くの視聴者を擁していたⅠ期生、中でも『売れっ子』だったティーリットさまやハデスさまは、実体化プログラム解禁から間もなく登録視聴者数百万人の大台に到達。
その他の方々もお二人に続かんばかりに、八十万台や九十万台へと立て続けに辿り着いていた。
そんな中で、間もなく百万人到達となりそうなのが……その体格ゆえ
彼女にはその大きすぎるディスアドバンテージを払拭するため、共用デバイスとは別に首飾り型の専用デバイス(
『セラちゃんずるい! わちもおそら飛びたい!!』
『ティーちゃんだって
「あ、あの……べつに飛行魔法ってわけじゃないので……せいぜい床から一メートル弱浮かぶだけですし、セラフさんはこうでもないと厳しいでしょうし……」
『むぅーーーー』
『むぅーじゃ無いの。……まったく、この三桁歳児は……』
なんていう一幕こそあったものの……念願の
喜怒哀楽とともにふわふわと高度を変えたり、器用に空中でくるくると回って愛嬌を振り撒いてみせたりと、以前にもまして可愛らしい表現をしてみせる彼女。
これでようやく
そして一方……われらが(?)エルフの国の王女様にして、このたび晴れてゴールドの配信者ランクに到達した、ティーリットさま。
日頃からおれたちにとてもよくしてくれている彼女には……お祝いというわけではないが、ラニちゃん謹製の専用杖型変身デバイスを進呈させてもらってたりする。
こちらは従来のデバイス同様【
その効果は至ってシンプル……杖を向けた人物にコミカルな炎上エフェクトを三秒間発生させ、その後対象のテクスチャを一定時間『真っ黒』に差し替え……要は黒コゲ(もちろん見た目だけ)にしてしまうというものだ。
内蔵
なおその矛先は九割がた
また……ここへきて、実在
同僚の方々とは異なり、普段の身体が『ミルク・イシェル』になってしまった彼は、おれに倣っていち早く自宅の配信環境を一新。変身デバイスを必要としない手軽さも相俟ってか配信の機会も多く、ぐんぐんと支持者を増やしている。
加えて最近では、大手を振って
この世ならざる
ただし……そのスカートの中、脚の間にぶら下がっているとされる器官の存在に関しては、以前にも増して熱い議論が繰り広げられているのだとかいないのだとか。
そしてそして……おれたちの変化についても、せっかくなので添えておこうかな。
まずは、チャンネルの
別次元である
特にここ最近、一月末から二月にかけての伸び率が半端無い。考えるまでもなく『にじキャラ』の皆さんと接する機会が得られたからであり、彼ら彼女らの影響力のおかげである。
……ほんとうに、感謝してもしきれない。
受け取ったら記念配信でもさせていただこうかな。
そんな大きな出来事と、いつも通りの小さな出来事――
――――本日は、三月六日の金曜日。
浪越市南区のおれの部屋の前では……白と黒のツートンカラーに塗り分けられ、屋根の上には赤色灯が設えられた、とても速そうな車が一台、おれのことを待ち受けていた。
「お早うございます、若芽さん。本日は宜しくお願いします」
「おはようございます。わざわざありがとうございます、春日井さん」
春日井さんと、彼に付き従うもう一人のおまわりさんによって、おれは後部座席へと案内される。
とはいえ当然『たいほ』とか『にんいどうこう』とかそういうのじゃないので、そこんところは安心してほしい。わたくし木乃若芽、後ろ暗いところなんて(あんまり)ございません。悪いことなんてしてないし、税金だって滞納してないもん。
そんな模範的な市民(どや)であるおれを乗せたパトカーが向かう先は……浪越中央警察署。
おれこと
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます