第390話 【情報波及】賽は投げました
『アンリアルキャスターが実体化!? 『にじキャラ』が繰り出す驚異の最新技術とは?』(URサーチ)
□2o2x年2月15日19:58 □ジャンル:URcaster
〔つぶやく(ё)〕〔Like_1,058〕〔REIN共有〕〔Fansta共有〕
ゲームや漫画、アニメーションのキャラクター、そして仮想配信者……『非実在』のそれらキャラクターに入れ込む人々においては、それら『推し』が現実に存在しないという事実を嘆く者も少なくないだろう。
ところが。日々進歩を続ける仮想配信者業界において……またしても大事件が巻き起こった。
騒動の発端となったのは、株式会社NWキャストが擁する『にじキャラ』所属のタレント『玄間(くろま)くろ』のライブ配信、『仮想温泉旅館くろま【おうたの集い】』。
仮想配信者である玄間がゲストを招き、一緒にカラオケを楽しもう、という趣向の番組であったが……驚くなかれ、その配信に訪れたゲストとは、全員が実在の配信者だったのだ。
企画主であり、仮想配信者であったはずの『玄間くろ』も含めて、全員である。
………………………………
……………………
…………
『ユアキャス大手『にじキャラ』所属配信者『玄間くろ』、次なる舞台は現実世界!?』(ネットギークMAG)
□2o2x年2月15日21:33 □タグ:にじキャラ
〔つぶやく(ё)〕〔Like_1,915〕〔REIN共有〕〔Fansta共有〕
株式会社NWキャスト所属のURcaster「玄間くろ」は、自身のチャンネル「仮想温泉旅館くろま」において驚くべき内容の配信を敢行した。その内容とはずばり、今までは画面の中でしか存在が許されなかった仮想配信者(アンリアル・キャスター)を、なんとこの現実世界へと出現させるというもの。
勿論、行われた配信そのものは従来同様、動画投稿プラットフォーム「YouScreen」を利用したもの。しかしながらその配信の内容は、実在の店舗とおぼしきカラオケルームにて同僚たちと「カラオケ」に興じるというもの。
ソファに腰掛け、テーブルに頬杖を突き、予約端末を操作し、マイクを握り……今までは画面の中でしか存在し得なかった仮想配信者が、それらの動作をあたりまえのように行っているのだ。(※写真1)
これまでも仮想配信者を登用したバラエティー系コンテンツは数多く試みられてきたが、やはり技術的な制約が大きくのし掛かり、専門の機材を揃えたスタジオでしか収録を行うことができなかった。……とはいえ、これは仮想配信者を登用するにあたっては、当然のことであるのだが。
その一方で、今回のケース。実際のカラオケ店舗(当然専門の3D収録機材など見られない)にて、時折当たり前のように会場を出入りし、これまた当たり前のように飲食しながら、アンリアルな存在であるはずの仮想配信者が配信を行っているのだ。
………………………………
……………………
…………
『実在仮想配信者旋風ふたたび!? 謎多き配信者「木乃若芽」と「のわめでぃあ」とは?』(netnote)
□2o2x年2月16日05:46 □カテゴリ:URcas
〔つぶやく(ё)〕〔Like_719〕〔REIN共有〕〔Fansta共有〕
日本の配信者界隈に大きな衝撃を与えた「キャンフェス」から、間もなくおよそひと月が経過しようとしている。
そんな中で昨晩、またしても衝撃的な大事件が勃発した。これまでは仮想空間での存在だとされていたアンリアルキャスターが、なんと現実世界に姿を現したのだという。
実在するアンリアルキャスターと聞いて思い浮かぶのは、件の「キャンフェス」騒動において頭角を表した配信者「木乃若芽(きのわかめ)」。当初の計画こそ3Dモデルを利用したアンリアルキャスターであり、その容姿も現実離れしたファンタジックな装いあるにも拘わらず、数奇な経緯を経て今では実在人物として活躍している、気鋭先進の配信者である。
今回の騒動の中心となった配信の参加者で、ただ一人所属が異なる彼女。その来歴も含め、この「突如として現実の存在となったアンリアルキャスター」騒動に関わっていることは、もはや疑いようが無いのではないか。
………………………………
……………………
…………
『「にじキャラ」キャスター実体化プログラムに関して』(NWキャスト)
□2o2x年2月16日07:00 □カテゴリ:インフォメーション
〔つぶやく(ё)〕〔Like_24,343〕〔REIN共有〕〔Fansta共有〕
株式会社NWキャスト(本社:東京都千歳区 代表取締役:金江隼人、以下「当社」)が運営するURcaster / 仮想配信者タレントグループ「にじキャラ」において、新世代演出技術の一環として、所属タレントの擬似実体化による表現技法の確立に至りましたことをご報告致します。
当社独自開発の特殊粒子を定着させた衣装を着用させ、光波の屈曲率や衣装の形状を操作することで、あたかも実体化しているかのような表現を可能としました。
これにより今後、これまでのように限られた環境に留まらず、様々なロケーション・シチュエーション、全く新しい内容の企画コンテンツを提供できるものと考えております。
既に実証は完了し、当社仮想配信者タレントグループ「にじキャラ」Ⅰ期生より「トールア・R・ティーリット」「冥王ハデス」、Ⅲ期生より「青樹ちとせ」、Ⅳ期生より「洟灘濱道振」「玄間くろ」「村崎うに」、以上六名を第一陣として公開致しました。以降の所属タレントにおいても、順次公開を進めていく所存です。
なお今回の新技術の技法を確立するにあたり、試験環境や各種機材・資財を提供して下さった囘霊宮、ならびに同産業技術会館の皆様には、この場をお借りして篤く御礼申し上げます。
今後も株式会社NWキャストは世界的に愛されるコンテンツ作りを目指し、精進してまいります。
当社ならびに「にじキャラ」各位へのご理解・ご支援・ご声援の程、今後とも宜しくお願い申し上げます。
………………………………
……………………
…………
「…………ってな感じで、予定通り『にじキャラ』さん側からも声明が出たみたいっすね。この一晩でネットの反響スゴいことになってるっすよ」
「ほーん? それはよかよか。……まぁ後はあちらさんにお任せ、って感じかね?」
「そっすね。オレらのお仕事としては、一旦これまでで。……まぁ見てた感じ、先輩コラボのお誘いは途切れなさそうっすけど」
「あはァーー嬉しい悲鳴ってやつーー」
現在時刻は、翌十六日の朝七時すぎ。おれは一夜明けて騒がしくなってきたネットのニュースを、我らがマネージャーのモリアキとともにザッピングしていた。
例のお祭り騒ぎが終了して、おれたちは(てれてれ
というのも、もう深夜零時を回ったというのに『にじキャラ』の方々のテンションがすさまじく、なんとそのまま二次会という名目で
配信会場にお集まりいただいたのは六名だったが、同フロア別室に待機していた
……
おれはそこに危険な臭いを嗅ぎとり、年少組二人をダシに戦略的撤退をキメたわけだが……やっぱりおれの判断は間違っていなかったと思う。
『にじキャラ』マネージャーさんたちからの救難信号を受けて、再び『うた館』へと駆けつけたおれたちの目の前には……こんな時間まで粘りに粘ってダメになった方々のだらしない姿が、死屍累々といった
「はいはーい! みなさん起きてくださーい! 『にじキャラ』行き最終便しゅっぱつしますよー!」
「「「「「はぁーーい……」」」」」
「あれれぇー? 声が聞こえないぞぉー? 準備はいいですかぁー?」
「「「「「はぁぁぁい!!」」」」」
(いやーいやー……ヨッパライどもはどの世界でも変わらないねぇ……)
(先生すんません、お世話ンなりァっす)
とりあえず彼らを穏便に事務所までお連れして、機材の撤収をお手伝いして……そこまではお力添えさせていただこう。主にラニちゃんが。
われわれとしても……彼らの次なる演目は、とっても楽しみにしてますので。
これからこの界隈は、とっても騒がしく……そして、とーっても楽しくなるぞ!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます