第387話 【歌唱共演】饒舌の七人
やっぱりこの約二週間、密かに練習してきてくれたのだろう。
ちとせさんは女児向けアニメのエンディングソングを、ハデスさまは男性アイドルグループの看板ソングを、それぞれハイレベルな振り付けとともに歌い上げてくれた。
ちとせさんとハデスさま……それぞれ通算で九曲目および十曲目となるおうたを披露し終えて、再びどこかのんびりとした空気が
コメント(や業務指示)が表示されるパソコン画面を覗き込みつつ、小休憩を兼ねた雑談タイムが始まろうとしていた。
「いやぁー『やっぱり』っつーか
「いぇーーい視聴者さぁーーん見てますかァーーー??」
「
「その辺にしとけ
「おれドロワだから大丈夫ですゥーー見えちまっても平気ですゥーー」
くろさんをはじめとするⅣ期生に留まらず、晴れてⅠ期とⅢ期から合わせて四名のお方の『実体化』をお披露目したことにより……視聴者さんの盛り上がりようは、そりゃあもうえらいこっちゃの大騒ぎだった。
まずもってお披露目させていただいたⅣ期のお三方――
まずは、人間にしてはあり得ない長く尖った耳をもつ、造りからして普通ではないロングドレスを身に纏った、美しく神々しいエルフの少女。
つぎに、褐色肌とはまた色味の異なる、いかにも『人外です』といった色合いの肌を持った、身長二メートルは優にあろうかという魔族の偉丈夫。
加えて、人為的な手を加えなければ絶対にあり得ない、明るく鮮やかなライトブルーの髪の毛と瞳を持つ……おれと同じくらいに小柄な美少女。
おそらく殆どの視聴者さんがお目に掛かったことがないであろう、ファンタジー感がありありと感じられるお三方の姿。
それはそのクオリティもさることながら……
好きなキャラクターが、この世界に実態を伴って現れるという、到底信じがたいであろう『現実』。
しかし……その好きなキャラクターの晴れ舞台を、まだ見ぬ演出の可能性を、次の……そしてそのまた次の配信を、視聴者の皆さんに期待させるには充分すぎるだろう。
「『あと誰が来るんですか』そんなん聞かれてもなぁ……うちもあんまり詳しい話聞いとらんし」
「それ単にクロが説明聞いとらんかっただけとちゃうん? のわっちゃんは何か聞いとる?」
「えー、っと……すみません、詳しい話はわたしも…………というかわたし、一応所属は別口ですので……」
「あー……そっか。そうだな。いやーなんか最近めっちゃ絡んでたからよ……イマイチ
「『なかゲ部』でもお世話んなったしなぅー。おれもスマブロ大会参加したかったわぁー」
「これからいくらでもできますよ。……
さっきの質問に対しては
というのも……現在このお部屋には『にじキャラ』さんから六名、おれも含めると七名の実在
もっとスペースを『ぎゅっ』と詰めれば、あるいはもう一人か二人は入るのかもしれないが……現在のスペース配置は実在
つまりは……
しかしそれでは、恐らく大多数の視聴者さんが納得しないだろう。
この場にいる方々を
なので……今後の『にじキャラ』に期待してもらうために、これ見よがしに『別の機会がある』ということをアピールしておく。
今回の『カラオケコラボ』以外にも――さっきおれが述べた『スマブロ大会』に始まり、『お誕生日コラボ』や『カレーの集い』などなど――これまで『にじキャラ』さんが行ってきたいろんなコラボ配信を、
事実として……今日のこの『おうたコラボ』を皮切りに、今度は『にじキャラ』内のイベント企画チームが主導となって、この『実体化』を念頭に置いたさまざまなコラボ配信を立て続けに仕掛ける予定なのだという。
肝心要の【変身】デバイスは既に渡してあるし、
つまりは視聴者のみなさん、彼ら彼女らの
「じゃーあー……こんど『なかゲ部』で大会開くときあったら、特別協賛でのわちゃん呼ぶけどいい? 賞品枠で」
「わかりました。じゃあ
「「「イェーーーーイ!!!」」」
「のわめ荘に行きたいかァーーー!!?」
「「「ウォォォォォォ!!!」」」
「ちょっと!!?」
まったく、油断も隙もあったもんじゃない。そんな予定を勝手に決められてしまっては……おれはとても、とても楽しみになってしまうじゃないか。
実際のところ、前回ハデスさまたちをお招きした際……おれはびっくりするところもあったが、とても楽しかったことも事実だ。
それに
ともあれ……以降の催し物は、そのテのプロである『にじキャラ』企画部門に丸投げするとして。
とりあえずおれは今日のこの『おうたコラボ』を成功させるべく、
ふっふっふ……一曲二曲で済むと思ったら大間違いよ。
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