第363話 【誘客遊戯】メラメラの決勝戦
全世界が注目(※誇張表現)している決勝戦……コメントの流れを見る限り、やはりというか一番人気は
単純に強い上に、談合により
次いで人気なのが、予選では安定した強さと紳士的な振る舞いを見せた
堅実に繋ぐ高火力コンボにより、近距離では無類の強さを誇るが……なにせ出が遅めという短所をどうカバーするか。仮想敵である
エルフのお姫様のキャラクターを操作するエルフの王女様、ティーリットさまは……コメント欄で繰り広げられるトトカルチョではいまいち支持を集めづらいようだが、
見目麗しく、可愛らしい王女さま……その人気と支持は、よそのチャンネルへ出張していても相変わらずのようだ。
そしてそして、ひよこ組から唯一のノミネートである
かわいいし、素直だし、がんばりやさんだし……そして、かわいい。彼女が『あねうえ』と慕う
そんな個性豊かな面々が出揃った、注目の決勝戦。気になる試合運びとしては……まずは大方の予想通り、
「お姫おまっ……! 勝ちたく無ぇのか!? ラニちゃんに全部持ってかれんぞ!?」
「わちラニちゃんが勝てば野望果たせるもーん。わかめちゃんとデートしたいだけじゃもーん」
「わはははは! そーゆーわけだよハデスくん! 大人しく我ら『ファンタジー女子部』の
「クッソ! 抜け目無ぇなァあのチビッ子!」
高速で場を荒らし回り、出の早い攻撃を繰り出し牽制してくる
そしてその撹乱役に気を取られ過ぎると、出は遅いが高火力の
更に分が悪いことに……
「クッッ、ソ……ぬぐぐ……」
「はははは! 逃げてばっかじゃ勝てないよ!」
僅かな隙を見いだし、ほんの少しずつ反撃を試みるが……しかし二対一の状況は覆し難く、どうにも勝ちが見いだせない。
もはや万策尽きたか、調子に乗った女子連中に一泡吹かせてやることは無理なのか。ハデスさまが、そしてあまりにも一方的な攻勢にさすがに『それはちょっと……』と感じ始めた視聴者さんたちが、世の不条理と悔しさを滲ませる中……ついに状況が大きく動く。
「あっ、当たりおったわ」
「「あっ!?」」「オォ!?」
場を荒らし回った漆黒の怪盗……しかしそれ以上の速度を誇る音速のハリネズミが、独り黙々とキー入力トレーニングを続けていた
操る本人でさえ見失いそうな程の速度を乗りこなし、
少なくない
「ッハッハッハ!! くく……っ!
「役立てたのなら、幸いよ。……戯れとはいえ、対等とはいえぬ勝負では楽しくなかろうてな。若輩の身なれど、我輩も仲間に入れて貰おう。此で漸く二対二よ」
「ず、ずるい! ハデさまずるい! わちもナツメちゃんとニャンニャンしたい!」
「欲が多すぎんだよ貪欲王女様!! どーせ結局若芽ちゃんち全員とお近づきになりてぇんだろ!?」
「はっはっは……参ったね。ナツメちゃん完全に見れてなかったわ」
思わぬ形で頭角を表した
やはり『すばしっこさ』においては譲れないものがあるのだろうか。その速すぎる移動速度ゆえにやや扱いづらいピーキーなキャラクターを器用に使いこなし、フ女子部二人の動きを器用に削いでみせる。
そうして動きが止まり、あるいは隙を晒したとあらば、すかさず
無論、
しかしながら、ここに至ってはハンディキャップの存在がデカい。
こうして、思ってた以上に熱い戦いをみんなで見守ること……数分。
「ああーー!!」
「すまぬの、姫君よ」
まずは
「ぬ!? …………くっ」
「ゴメンねナツメちゃん! キミはよくやったよ!」
そんな
こうして残るは、
双方ともダメージはかなり蓄積しており、いつダウンしてもおかしくない。
飛び掛かり、牽制し、殴り、跳び、転がり、防ぎ、放ち、避け……一進一退の攻防が続き、どちらかの攻撃がマトモに入ればもう決まるだろう程にギリギリまで削り合い……
「……ッ!! 貰ったァ!!」
「させるかァァ!!!!」
勝敗の決め手は……ステージ全体に流星雨(ダメージはさほどではないが回避が非常に困難)を降らせるアイテムを拾った
対する
本来であれば、強パンチに届かぬ程度しか入らないはずのダメージだが……互いに爆発寸前までダメージが溜まっていた状況とあっては、それを爆発させるには充分な刺激だったらしく。
「ああーーーーーー!!」
「ラニちゃんーーーーー!!」
「ッしゃァァァ! やったぜ
「かかかか! やりおったな! 魔王殿よ!」
手に汗握る決勝戦、その結果は……『なかよしゲーム部』所属、ハデスさまの優勝。
こうして第二回『のわめでぃあ杯【局長争奪戦】』は、過去最大を記録する視聴者さんの数と、過去最大の盛り上がりを見せるコメント欄に見守られ、大盛況のもと幕を閉じ……
優勝者への賞品、兼・おれへの罰ゲームの執行が、無慈悲にも決まったのだった。
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