第362話 【誘客遊戯】ハラハラの第二試合
大盛り上がりの中で決着した第一試合……その勝者はハデスさまと、なんと『ひよこ組』の
見事に空気を読んでくれた『なかゲ部』の方々のお陰もあり、見所のある激闘ながらいい意味での予想外と、非常に盛り上がりを見せた一戦であった。
そして……選手交替からの、第二試合。
参加者はおれと、ラニちゃんと、『なかゲ部』からは
この中では、圧倒的におれがよわよわなのだろう。何てったって
しかししかし、そんなおれにも光明が差したのだ。それはほかでもない第一試合で証明されたこと。
見ていて面白い盤面を作り出すためには、つよいひとはつよいひとを倒しにいかなければならない。つまり、おれは逃げに徹してさえいれば、勝手に二位になるという寸法なのだ!!
「ぐわーーーーーーーー!!!」
「ああ! わかめちゃん!?」
「ラニちゃんえっぐ……! 全く容赦ないじゃないすか!」
「はっはァ!! ノワを虐めて泣かせて辱しめる権利は誰にも譲らんよ!!」
「こわいこわいこわい!! やだ! ゆるして!! やだ、わたし死にたくな…………ああーー!!?」
「「あぁー…………(合掌)」」
開幕からの怒濤のラッシュと的確なコンボで、またたく間におれの操るエルフの勇者はライフポイントを削りきられる。
第二試合では唯一ハンデを貰っていたのに、しかしゲームオーバーになったのは一番最初っていう……どんだけ執拗に攻められてたの。ひどい。
おれのみに粘着しているようなら、ハラスメントとして訴えかけてもよかったのだろうが……しかしそこはこの勇者、抜け目が無いというか単純に半端無いというか、
おれのライフを削りきりながら、またお二方も(漁夫の利があったとはいえ)一つずつ削ってみせる……いや、強すぎやしませんかね。
というわけで、現在の戦況としては……黒ずくめの怪盗を操るラニちゃんが
「……ッ! さすがに……やりづらいね、っ!」
「ラニさんさすがに、ちょっと危険すぎますん、でっ!」
「わかめちゃんのかたきじゃよー! えいっ、えいっ!」
(かわいい)
そりゃあれだけ暴れまわり、哀れな
がんぱれお二人。めっちゃ応援する。おれのかたきを討ってくれ。
「……ねぇ、ティーちゃん?」
「んう? なんじゃ?」
二対一、さすがに旗色が悪いと悟ったのだろうか。
ゲームつよつよで、イタズラが大好きで、たまにえげつない
「ずばり『ファンタジー女子会』とか……どう?」
「…………? なにを、いうとる?」
「っ!! ティー様耳貸しちゃダメっす! 早くラニさん倒さないと……」
「ボクが勝ったら……
「け…………けど?」
「ティー様ダメっす! 早く攻撃を! ラニさんの作戦っすよそれ!」
「『ファンタジー女子』であるティーちゃんも……コラボ、誘っちゃおっかな★」
「
「アァーーやっぱこうなったーー!!」
な、なんてえげつない……!
美味しそうな餌をちらつかせ、甘い囁きでティーリットさまを
というわけで、いとも
「くっそぉーーーーー!!」
「「イェーーーーイ!!」」
「いやぁ……女子って怖ぇなぁ……」
「いやぁ……あれはラニちゃんが怖いわ」
こうして第二試合の勝者は、漆黒の怪盗とエルフのお姫様……ラニちゃんとティーリットさまの『見た目華やかペア』に決まりまして。
「
「あっ……いえ、光栄っすけどオレ、一応高校生って設定なんで……お気持ちだけ頂いときますわ……」
「そっ、……そう……です……か」
「のわっちゃんの誘い断るとか最ッ低やなデコ!!」
「そうだぞ
「いや、でも! でもですよ! 仮にオレがあのお誘い受けたらまた炎上するでしょう!?」
「せやろな」「だろうな」
「ほらぁーーーー!!」
ラニちゃんのえげつない策略の前に散った
かわいそうだけど……おかげでコメントのほうは大盛り上がりだよ。すごいね
……というわけで。
様々な悲劇こそあれど、事件と言えるような問題も特に起こらず……これで決勝に駒を進める四名が無事に決まったわけで。
ではでは……第二回『のわめでぃあ杯【局長争奪戦】』、
第一試合からは、肉弾系魔王を操るハデスさまと、青いハリネズミを操る
終始紳士的な試合運びとなった第一試合、うにさんに半ば譲られるような形とはいえ、
そして混迷の第二試合からは……今大会の主催にして黒幕、ラニちゃん操る漆黒の怪盗、そして彼女に唆されたエルフのお姫様……を操作するエルフの王女、ティーリットさま。
とにもかくにもラニちゃんの悪辣さが際立った第二試合、しかしそれでも寄せられるコメントはなぜか好意的なものが多い。げせぬ。
以上の四名で闘っていただく決勝戦。ルールは変わらず、
この一戦での勝者が……優勝賞品、つまりは『
おれとしては一も二もなく
というわけで、更に増えた多くの視聴者さんたち(おれ正直びびってる)が見つめる、注目の一戦。
いざ尋常に……はいプレイボール!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます