第262話 【配信終了】反省会はじめ
…………さてはて!
あれから……つつがなく『せっかくとりっぷ』の目的地選定を終え、ひさびさ感のあるアカペラ
配信終了の報告とお礼を
今日は朝からいろいろあったけど……さまざまなことをクリアできたので、なかなかに実りの多い一日だった。もうへとへとだ。
疲れた身体にしみわたる、やさしさたっぷりおいしいお夜食をいただき……
まったく、我ながら良いご身分である。
「だぁって、ノワだってちゃーんとお仕事してるじゃん。全然『いいご身分』なんかじゃないよ、ちゃんと相応の権利だよ」
「んう…………そうかなぁ」
「そうだよぉ。すぱちゃのお礼も、もうほとんど録り終えたんだろ? あの数を……」
「それはそうだけど……ついさっきまた貰っちゃったし、明日のコラボでまた増えるかもだし。実際、まだ全部終わってないのに次が来ちゃったわけだし……」
「そんなのおふろ上がりでいいから! 今はちゃんと休むべきなの! ちゃんと温まって!」
「わ、わかった、わかったよお」
広々とした浴槽で、小さな裸身がばしゃばしゃと
可愛らしい相棒の『だだっこ』じみた発破を受け……おれは葛藤を振り払うように上下の下着を脱ぎ去って、そのまま洗濯機へと放り込む。
……脱いでるときにお風呂場の方から『おほーっ』とか聞こえた気がするけど、もう気にしない。
軽く掛け湯をして、ちょうど良い温度のお湯が張られた浴槽へ。爪先からそろりそろりと身体を沈め、そのまま浴槽の縁に頭を預けてあたたまる。
仰向けにぷかぷか浮かぶこのスタイルは、おれのお気に入りの入浴姿勢だ。今まではでっかい温泉や露天風呂じゃなきゃ叶わなかった体勢だが、この身体とこの浴槽であれば自宅でもそれができる。すばらしい。
……まぁしいていえば、舐め回すような視線が気にならなくもないのだが……しょせんは小さくて可愛らしくて無害なだけの
「んんー……今日はめっちゃ働いたなぁ」
「そうだねぇ、起き抜けにカメラ向けられてたのはびっくりしたけど」
「そうだよ、なんで真っ裸なのさ。寝起きドッキリ動画
「だって気持ちいいんだもん。ノワもやってみれば?」
「『もん』じゃないんだよ! やらないよ!」
朝イチの『ラニちゃん寝起きドッキリ』は、残念ながらお蔵入りになってしまったが……第二企画『グランドハープ修理してみた』のほうは、無難に近日投稿できそうな気がする。
あからさまに魔法バレしそうな部分は既にトリミングして消去してあるので、あとは鳥神さんに依頼すれば動画の形に仕上げてくれる。……わぁ、めっちゃ楽。
その後の『環境音動画:小川のせせらぎ』に関しては……明日にでも編集(とはいってもほとんどトリミングだけ)を行って、すぐにでも投稿してしまおうか。撮影中は恥ずかしながら半分くらいスヤスヤだったので、映像がどんなものなのかは要確認だが……それも明日の午前中にやってしまおう。
そしてそして……新作の動画企画『せっかくとりっぷ』の案も出来上がり、冒頭の行き先抽選(
行き先の選定も済ませ、大雑把に必要な日数と時間の計算も済ませている。あとはまとまった
「新しい企画もだけど……もうある企画も、続編つくってかないと……だよね?」
「うん、そうなの。ハープ直ったから『演奏してみた』とか、『
「そこに月末の……キャンピングカーフェス? と、一日署長もね。……たいへんだよノワ、大忙しだ」
「そうそう。それにあしたは……うにさんとミルさんと、ゲームコラボの日だからね。午後からはおうちにいようと思う」
「うん。……がんばろうね」
「がんばりゅぅぅ」
つい先日までは一人っきりで、タスク管理も大変だったのだが……フォローしてくれる相棒の存在とこの身体の情報処理能力もあり、スケジュール管理もおちゃのこサイサイだ。
おれの活動を理解し、力になってくれるコたち(とモリアキ)がいてくれれば……どれだけタスクが積み重なろうとも、負ける気がしない。
すべては……視聴者さんに喜んでもらうため。
さまざまなジャンルを網羅した、たのしさいっぱいの放送局を……おれたちの手で作るのだ!
「……ねぇノワ、水着配信はいつやるの?」
「ぇえ……まだ冬だからなぁ、寒いし。やっぱ夏になってからに………………は!? いやいやいや! やらないよ!?!?」
「えー!? やーろーおーよー!! 絶対だいにんきだからァー!!」
「いーやーだーねー! 水着とかはもっとセクシーなギャルズが着るべきなんですし!!」
「ノワはもっと自分のボディがセクシーだってこと自覚して」
「そうかなぁ」
「そうだよぉ」
…………そっか、そんな需要あるのか……若芽ちゃんの水着姿。
いやいやいや、でも若芽ちゃんは健全で清純なのがウリなので……いやでも数字が……いやいやいやそんな軽率な……いやいやいやでも
のわめでぃあに……『深夜枠』を設けるべきなのか、否か。
降って沸いた究極の選択に、おれは頭を悩ませることになるのだった。
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