第220話 【祝日配信】まだ慌てるような
※健全です。
※健全です(念押し)。
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脱衣麻雀の……特に今回適用されたルールにおいては、何よりも『点を失わないこと』が肝心となる。
総合得点で競う通常の打ち方とは異なり、つまりはリーチのみだろうが役牌のみだろうがアガればこちらの勝ち……脱衣は免れられるのだ。唸れ特急券。
「ろ、ろん!! でございます!」
「えらいぞ
「わ、わかりました。……つ、つも! つも! でございます!」
特急券の面目躍如、役はみごとに『
しかしこれでもアガりはアガり。通常ルールならともかく、今回のようなルールにおいては非常に有用なのだ。
なんとか
……またしても、事件が起こった。
「「えっ!?」」
南二局が始まって、ほんの数分。拾って捨ててを繰り返すこと、まだ四周目。
ここからどうやって役を整えていこうか、などと相談していた、その矢先。
深く考えずに捨てた『おはじきの六』に落雷が落ち……自分ではない他のプレイヤーの手牌が開かれ、リザルト画面が表示される。
【1_FN】ハデス:村崎!!?
【2_SD】刀郷剣治:ちょっ
【1_FN】ハデス:何やってんのお前!!
【2_SD】刀郷剣治:なにやっての!、??
【4_SE】村崎うに:へへ……
速攻でアガってみせたのは……なんと、村崎うにさん。
その役は『ピンフ』のみと得点的には安い部類だが……その作りやすさと早さは、いまのおれにとっては充分な一撃だった。
「……えっ、と……じ、じゃあ…………くつ……ブーツを、脱ぎます……」
「あわわわわはわわわわ」
「だ、大丈夫だよ
「くぅんっ……わ、わかめさまぁ……」
レザーブーツの編み上げ紐を弛め、めいっぱい腰を曲げて左足を引き抜いていく。普段は丈の長いローブをまくり上げなきゃならない動作も、そのローブを身に付けていない今であれば楽々行える。
現在おれの
大丈夫、この程度なら問題ない。むしろおうちの中だから
つまり今のおれは平常、いつもどおり。いつもどおりだから何も問題ないし、平常どおりの平常心だから問題があるはずもない。つまりはよゆう。
より一層の盛り上がりを見せ、また二つの意味で
いやべつに恥ずかしくないけど!
【2_SD】刀郷剣治:弁解はあるか??
【4_SE】村崎うに:いやあ、その、ね
【4_SE】村崎うに:別に嫌がらせとかそういう意図じゃなくて
【4_SE】村崎うに:盛り上がるかなぁ、って
【1_FN】ハデス:そりゃあ……まぁ
【4_SE】村崎うに:まだ残機あったし、
【2_SD】刀郷剣治:まぁ、拝めるかどうかって瀬戸際だったら
【4_SE】村崎うに:この時点で『望みが無くなった!』ってがっかりさせるよりは
【4_SE】村崎うに:生かさず殺さず『パンツ拝めるかも!』っていう期待を視聴者さんに持たせた方が
【2_SD】刀郷剣治:たしかに、わかめちゃんの生殺与奪は我々がコントロールできるわけだし
【4_SE】村崎うに:のわちゃんも稼げるかなって
【2_SD】刀郷剣治:オーラスまで期待させといて、ってのは確かにわからんでもない
【4_SE】村崎うに:なので南三であと一枚剥いといたほうが
【4_SE】村崎うに:絶対盛り上がる
【2_SD】刀郷剣治:一理あるかもしれない……
【4_SE】村崎うに:オーラスでのわちゃんあがれば実質無傷だし
のわめでぃあ局長:お心遣いありがとうございます!!!!!おかげさまで視聴数すごいです!!!!!!!
【1_FN】ハデス:確認するが……そこに私的な欲は入ってないんだよな?
【1_FN】ハデス:単に村崎がわかめちゃんの恥じらい眺めて愉悦りたいってわけじゃ、無いんだよな?
【2_SD】刀郷剣治:どうなん?
【2_SD】刀郷剣治:おい貧乳
【4_SE】村崎うに:へへ
なるほど、さすがはプロのエンターテイナーだ。突然ふるわれた暴力にちょっと動揺したが、それも決して悪意あっての攻撃じゃないってわかったので良しとしよう。
うにさんは決してひどいひとじゃない。おれのことを考えての攻撃なんだ。おれの至らぬところを補ってくれるための攻撃なんだ。
プロから提示された演出案に、おれ自身納得できる部分も少なからずあったので……数秒の熟考の末、おれはその申し出を受けることにする。
つまりは、南三局。おれが危険域ギリギリまで剥かれる予定が急遽飛び込んだ、視聴者さんにとっても注目の一局だ。
「わ…………わかめ、さま……」
「……大丈夫。想定内だから」
「………………くぅん」
これが彼らの本気、ということなのだろうか。
おれたちが何か調整を企てるまでもなく、流れるように順が回っていき……いやに緊迫感のある『リーチ』を受けてビビったおれたちが切った牌で、刀郷さんが『ロン』。
見事に『リーチ一発一盃口ドラ赤ドラ』の直撃を受けたおれたちは、八〇〇〇のライフポイントと靴下を失うこととなった。
まさか配信で素足を晒すことになるとは思わなかったが……その甲斐あって、というべきだろうか。詳しい言及は避けるがコメントと色つきコメントが大変なことになった。
ここまで加速するのは収益化記念のとき以降だろうか……いやそのときよりも数段ヤバい気がする。
しかし……視聴者さんたちが盛り上がるのも、無理はない。
勝つか負けるか、絶対防衛線を拝めるか拝めないか。そうなれば純粋で正直なおれの視聴者さんたちは、その気持ちをストレートに表現してくれるだろう。
そんな皆の期待を背負っての、南四局オーラス。……しかしながら残念なことに、この局は対局相手との談合によりおれたちの勝利は決まっている。さっき改めて意思確認したから間違いない。三人から『絶対にアガらない』って言質とった。つまりは負ける可能性も、剥かれる可能性も、ことここに至ってはあり得ないはずなのだ。
そんな『出来レース』であるはずの、注目の一局。
なんとなんと……まさかまさかの『奇跡』が起こった。
起こって、しまった。
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※安心してください。
※健全ですよ(念押し)。
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