第167話 【披露配信】序列わからせ戦・序
わが『のわめでぃあ』の新人れぽーたー、和装いぬみみ娘の
お洋服や洋食はまだちょっと未経験だが、こと和の領域のものであれば問題ない。伊達に長年修行してはいないってことだろう。
しかしながら、彼女を主軸に添えて番組を組んでいく場合……そのあたりをメインとして推すには、少々決め手に欠ける。
和食のお料理番組……とかなら一定の需要は期待できるだろうが、それこそテレビには偉大な先達がおわせられる世界なのだ。某上沼先生とか某平野先生とか。
彼女ならではの『特徴的な強み』は何があるのか、映像コンテンツとして視聴者さんに楽しんでもらえるものは何があるだろうか。
ライブ配信での交流企画といったら、よく挙げられるのが『
しかしながら……おしとやかで可憐で大人しくて控えめな彼女は、残念ながらこれまでコンピューターゲームの
そこはおいおいじっくりしっぽり教えさせてもらうとして……じゃあ今回の配信はどうしようか、無難にみんなでおうたでも歌ってお茶を濁そうか。
……そんな折、ほかでもない
「遊戯でしたら……わたくし僭越ながら、
「エッ!? すごい! ……えっ? でも遊戯って……その、五指に入れる
「ふふっ。……
そういって、どこか得意気に胸を張る
なるほど
……とまあ、そんな経緯がありまして。
本日の
「っというわけで、
「こちらは、ですね……
「いやぁ、もう……ね? わかるでしょ視聴者の皆さん。こんな可愛い子が
「わ、若芽様……?」
『尊い』『めっちゃ渋い趣味』『すげえ粋なお嬢さんじゃねえか……』『やまとなでしこ尊い』『容姿だけじゃなく中身も純和風』『ジャパニーズカードゲームOK』『超高純度の和服美少女いいぞ……』『和服似合う美少女すこ』『なかなか見る機会無いからなぁ』
最近流行りのネット対戦形式ではない、非電源ゲームと括られるこのジャンル……視聴者さんに不評だったらどうしようかとも思っていたけど、どうやらその心配は杞憂だったらしい。
おれの日頃の行いが良かったからか、はたまた
「それじゃ、さっそく準備に移りましょう。ちょっとカメラ動かしますね。……
「承知いたしました。……ときに、若芽様」
「……こんなんで角度だいじょぶかな。どしたの?
「
……ほほう。ほうほうほう。
つまりはこの娘っこは……この局長である叡知のエルフわかめちゃんさまに向かって、さも当然のように『ハンデはどれくらい要りますか』などと言ってのけたわけだ。
カメラの配置を終えたおれは、おれの中で渦巻く思いを圧し殺すように、ゆっくりと振り返る。
字札をおそらく五十枚ずつに分け終えたのだろう……画面右側と左側、同じ高さに揃えられた束を並べ、全く邪気の無い笑顔を向ける
「ふふふ…………
「は、はいっ」
……なるほど。いい度胸だ。
「……………………七対三で……お願いします」
「はいっ。承知いたしました」
「ウーーーン……このヘタレっぷりよ」
「だってたぶん勝ち目無いもん!!!」
『ハンデ貰うんだwwwww』『もらうの!?』『あっさりと力不足を認めるスタイル』『『もん』じゃないんだよ』『六四じゃないんだ……七三っておま……』『よわよわのわちゃん……』『これオチが見えたわ』『のわのわよわちゃん』『よわちゃん』『
コメント欄にフルボッコにされてるけど……おれはこの選択を後悔していない!
だってこうでもしないと『どっちが勝つか』のハラハラドキドキ感を、視聴者さんに味わってもらうことが出来ないからだ!
だから……おれはこの『よわよわ』の
だから……おれはべつに、おこってない。
おこってないけど、それはそうと視聴者の皆様。いつかおぼえてろよチクショウめ。
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