第48話 【街頭収録】伊養町でJK二人の昼食についていったら
どうやらサキちゃん(仮名)メグちゃん(仮名)は『歌ってみた』だけでなく、その後の『ありがとう配信』のアーカイブもちらっと見てくれたらしい。
……いや、ちがうか。どうやら有志の
まぁ元の配信は一時間半くらいあるし、お歌の部分のみはちょっと探しづらいもんな。
結局彼女達は『
注文したランチメニューを持ってきてくれた店員さんの声でようやく現実に引き戻されたらしく、しかし戻ってくるなり前にも増してキラキラした視線を向けてくるようになり……え、ちょっと待ってどういう状況だこれ。
「ええっと……カメラ、回して良い?」
「あっ!? は、はい!」「大丈夫です!」
…………敬語?
待って、いったい何があったんだ。ついさっきまでは和気あいあいとタメ
「ま、待って! 違うの! べつにわかめちゃんがキライとかそういうのじゃなくて!」
「そうそう! いきなり敬語出ちゃったのは謝るけど……これは単純に『すごいな』って思ったから!」
「そ……そう、なの? …………って! なんでわかったの!? 心読んだ!?」
「いや、だって……めっちゃ悲しそうな顔してたから……」
「わかめちゃん、考えてること顔に出やすいって言われない?」
「…………………………いわれる」
「あぁ……」「やっぱり……」
またしても一転……今度はどこかかわいそうな子を見るような生暖かい視線で見つめられ、気恥ずかしさで顔に熱が集まるのを感じる。
しかし、嫌われていないということが解った。ならば予定通り進めても大丈夫だろう。気を取り直して、収録と彼女達へのインタビュー再開と行こうじゃないか。
……と、でもその前に。
「えっと、じゃあ冷めないうちに。……いただきます」
「「いただきます!」」
べつにインタビューなんか、食後でも取れる。温かいごはんを温かいうちに……おいしいうちに頂くことは、作ってくれたひとへの礼儀だと個人的に思っている。
一部のお料理を除き、冷めてしまえば多少なりおいしさは低下してしまう。可能な限り出来たてを頂くべきだ。今現在の優先順位としては、これが最優先だろう。
と、いうわけで。
恥ずかしながらカレーと言えばジャパニーズスタイルカレーライス(バー○ント等)しか食べたことの無いおれにとって、ココナッツカレーというのは初体験だったりする。
名前からココナッツ……椰子の実の何かを使っているんだろうし、カレーライスの分類なのだろう。ハチミツを入れるような感じでココナッツの甘いなにかが入っているのかもしれない。
とりあえずカレーである時点で美味しくないわけが無いので、期待に胸を膨らませながら一さじ目を口に運び…………
(………………あっ、うま)
おいしい。おいしすぎて
カレーだからやっぱピリッと辛いんだけど、ココナッツ風味の……ミルクかな。ココナッツミルクで辛さが程よく緩和されていて、非常に食べやすい。舌や口内が痛みを感じるような辛さじゃなくて、じんわりと刺激されるような……なんていうか、全然不快じゃない辛さだ。
ルウというかスパイスの風味も普段食べ慣れたバーモ○トとは大幅に違い、やっぱりココナッツミルクの甘さが加わる前提でバランスよく纏められてるように感じる。多分バ○モントにココナッツミルクを加えただけのものとは根本的に違う味なんだなと思う。
カレーの中にはほろほろに柔らかい鶏肉も入っており、鶏肉そのものにもしっかり味が沁みていてこれまた非常においしい。ライスに乗っかった彩り野菜も、濃厚なカレーにも負けないくらい野菜の味が濃い。
ものにもよるけど、葉もの以外の野菜は低温の油でサッと揚げると色と味が濃くなるらしいわよ。
理由は知らないけどね。
とりあえず、期待通り……いや、期待以上に満足感のあるランチだった。
こんな良いお店を教えてくれた上に企画に付き合ってくれて……サキちゃん(仮名)メグちゃん(仮名)には、重ね重ね感謝しないといけない。
そう、企画。
二人が食べ終わったら、ちゃんとやることをやらなければ。
それにしても……あー、うますぎ。うますぎて……はい。たいへんおいしいです。
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