不良
「やってられねぇ」あたしはそう言って教室を飛び出した。
「待てよ! どこへ行くんだ」と聞こえたけど、あたしは無視してドアを思い切り閉めた。
どいつもこいつも、いちいちうっせぇんだよ。真面目にやれとか、やる気あるのかとか、お前らはあたしの親か? 髪を染めるなとか、ネイルをやめろとか、スカートの丈が短いとか、先コーに関係ねーし。
家に帰ったら帰ったでババァが「新しい学校にはもう慣れた?」と毎日聞いてくる。マジでウゼェ。慣れるわけねーじゃん。
こんなはずじゃなかった。頑張って勉強して私立の中学に入ったのに、そこはあたしが思い描いた場所ではなかった。でもそれは誰のせいでもない、違うそうじゃない悪いのはあたし一人。本当は自分でも分かっている。
あたしは校舎裏の非常階段に腰を下ろして紫煙をくゆらせた。
「タバコは体に毒ですよ」
「誰?」あたしは声のする方に目を向けた。
そこに立っていたのは委員長の後藤正樹。あたしは心の中でガリ勉メガネと呼んでいる。
「探しましたよ」そう言って、あたしの横に座った。
「アンタ、あたしのこと怖くないの?」
「怖い? 僕はそんなこと思ったことないですよ。それにみんな戻ってくるのを待ってますよ」
「ありえねーし」
「本当ですよ。だって、……」
「先生がいないと僕たち授業を受けられないでしょ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます