殺し屋

 俺は兄貴と宅配業者を装いターゲットのマンションに侵入した。チャイムを鳴らすと、女がドアを開けた。情報通りだ、女の名はジェニファー、金髪に青い瞳のアメリカ人でターゲットの愛人だ。俺はすぐさま女の自由を奪い兄貴とやっこさんのいるリビングに入った。

「何だ手前てめえら」男がテーブルに置いてあったチャカに手を伸ばしたが、兄貴は一瞬で奴の額を撃ち抜いた。

「プシュ」サイレンサーに銃声がかき消される。

「任務終了。兄貴にかかれば楽勝ですね」

「あんたー」女が絶叫する。

「ガタッ」俺と兄貴は物音のした方を見た。

「ステファニー!」女が叫び駆け寄る。

 幼いステファニーには侵入者の言葉は分からず目の前の光景にも理解が追いつかない。何か恐ろしいことが起きているという本能がその小さな体を震わせた。

「やめて! ステファニーには手を出さな……」

「プシュ」兄貴は躊躇うことなく女に引き金を引いた。全くしびれるぜ。俺は冷酷非道な兄貴に憧れてこの世界に入った。

 俺は、なき叫ぶステファニーを床に押さえつけて言う。「兄貴どうしますこいつ? っちゃいますか」

「たっぷり可愛がってやる」兄貴の口元が緩んだ。俺は耳を疑った。

「え? こいつをですか?」

 兄貴はステファニーの身包みぐるみを剥がしバスルームに消えた。

 俺は兄貴のそんな性癖みたくなかったぜ。バスルームから聞こえてくる声に耳を塞いだ。


「血がついちゃったねーキレイにしまちゅよー」

 兄貴、犬好きだったのか……。

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