第24話 ★スキル【魔力付与】

 契約獣魔として認められて以降、ソニンはギルド内のマスコットとしてその地位を確立していた。


 僕はその横でお守りを作って販売している。

 ソニンの抜け毛を編みこんだブローチだ。


 ウサギの尻尾は幸運のアイテムと噂されるように、ソニンの抜け毛はまだ子供と言ってもハンターラビットの毛。


 その体毛は鋼すら通さぬ防刃性を持っているが、それよりもそこに付着する圧倒的強者の匂いが、駆け出し冒険者にとって嬉しい効果を持っていた。


 それがお守りを所持してると〝低級モンスターが寄って来ない〟と言うものである。


 この効果は単純に、素人が外でナワバリの更新をして格付けチェックを終わらせた事にある。


 普段は人参を与えられてぐでんとしてるソニンだけど、やる時はやる子なのだ。


 半分くらいロキが格付けしてて、ソニンは取り巻きみたいな感じになってるけど、そこは気にしないようにしている。


 そんな感じで活動時間の大半は真夜中なのでお昼はおねむなソニンだった。


 僕? 僕はロキに任せて寝てるからそこまで負担はないかな?


 たまに返り血浴びて帰ってくるからお洗濯が大変なことくらい。


 お陰でゴミに新しく『ブラッドベアーの血』『アースドラゴンの粘液』『サンドローパーの体液』が新しく加わった。


 これに勝利して高笑いしてるのがロキである。


 僕から解放されたと暴れ回ったお陰で、周辺地域の生態系は絶賛狂いに狂っている。


 ギルドマスターに知られたら大変だが、それも踏まえて対処していく予定だ。


 兄さん曰く「バレなきゃいーんだよ」との事。


 バレた後のことをついつい考えちゃうのは僕がまだ子供だからだろうか?


 ちなみに洗濯するのに持って行かれたスコア☆は、


 ブラッドベアーの血:☆200.00

 アースドラゴンの魔血:☆300.00

 サンドローパーの体液:☆280.00


 と頭の痛くなるような数値だった。


 その他にハンターラビットの抜け毛は☆150.00。


 割と頻繁に落ちるし、なんだったらロキの抜け毛も含めて洗濯候補に入っていたので真っ先に獲得した。


 これらの恩恵はとにかく凄い。

 なんと掌に乗るくらいの毛玉一つでスコアが☆100.00になるのだ。


 なので集めまくって返り血やらなんやらを処理しているうちにスキルが生えた。


 集め始めたらあっという間にスキルとして昇華されたのは思ってもみないことだった。


 これがソニンのみだったら多分集め切れないと思う。


 ロキもいたからこその成果。

 それで手に入れたスキルが【魔力付与】だった。


 なんで毛を集めてこれが生えたのか全くの謎だが、いくつかの実験の結果明らかになったことがある。


 この【魔力付与】、僕のゴミ拾いをと言うよりスキルをパワーアップさせる効果を持つ。


 例えば【養分抽出】

 これは対象から『魔力』を吸い取って体内に蓄積するものだった。

 すぐに用途が思いつかずに使わなくなったスキルの一つだね。


 そこへ【魔力付与】が来て、今まで蓄積していた『魔力』が数値化された。

 これをスキルに付与できる。


 LVごとに要求される魔力は異なるけど、僕は早速それを試した。


 そしてゴミ拾いはLVが3になった。


 今まで手を伸ばした範囲でしか効果が発揮されなかったのが、今では僕が三人前後左右に手を繋いだ距離迄がゴミを拾える効果範囲となった。


 凄い進歩だよ。


 でも直ぐに魔力は枯渇した。

 いつもより萎た感じになる。


 これ、もしかして溜めることでやる気に影響出るやつだったりした?


 後で知った事だけどこの魔力、あればあるほどスキルの使用回数に影響した。


 僕はすごく便利なスキルを手に入れていたのにも関わらず、疲れるからと検証を後回しにしたお馬鹿さんだったのだ。


 今度からはもっと頑張ろうと思った。

 それはそうと魔力を付与した人参はソニンに喜ばれた。


 スキルのレベルアップ以外にも、旨みを増幅させる効果があるみたいだ。今度はそっちも含めて検証していこうと思う。


 お金になるかはともかくとして、無理のない程度にやれることができるようになったのは地味に嬉しいことだった。

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