第11話 類似品注意報

 パーティ要請は翌日まで傾れ込んだ。


 その日はザムさんと一緒にイタズラキノコの胞子やら、魔核に付着した錆やらカビやらを取って過ごした。


「ほれ、今日の駄賃じゃ」


「ありがとうございます。わっ、ずいぶん重いですね」


 昨日貰った150ゼニス(三食分)より入ってない?


 やってる事は昨日と同じなのに、こんなに貰って良いんだろうか? 


 確認したら200ゼニス。余剰分は兄さんに渡しておこう。


 僕の宿代だって馬鹿にならないだろうし。


「それだけお前さんのスキルを認めておるんじゃよ。そうじゃ、坊主。明日はヒリング草を摘みに行くんじゃったよな?」


「えっと、はい」


「ならワシからも注意点を一つ教えてやろう。ヒリング草の群生地には、ヒリング草に似た植物が非常に多い」


「兄さんも言ってました。半分以上ヒリング草じゃなくて大損したと」


「あいつは適当に選ぶからじゃな」


 兄さん、本当に街の人から尊敬されてるの?

 ザムさんからは呆れを通り越して憐憫されてない?


 そう言って、ザムさんが用意してくれた薬草類。


 左からヒリング草で右に行くにつれて雑草が混ざっていく。


「ポイゾ菜と言うのはどれですか?」


「こいつか?」


 右端から三番目。

 ほぼ雑草の類にも関わらず40ゼニスになるこの薬草はなんなのか聞いた。


「こいつは毒物じゃな。厄介なモンスターを遠ざけるモンスター避けを作るときに用いる。逆にモンスターに好かれる匂い袋にも使われる。毒と言っても扱う者次第じゃ。人間が口に含めば軽い食中毒を起こすがな」


「ちょっとゴミ認定しても良いですか?」


「坊主が何を思ってるかは分からんが、人間は汚い事をしてでも生き延びなきゃいけない時がある。必要悪というものじゃ」


 何やら難しい話をし出すザムさん。


「あ、いえそうではなく。兄さんが間違えるといけないので、僕が採取する時はヒリング草以外はゴミ認定しておこうかと」


「坊主のスキルは範囲限定制じゃったか? それならば問題なかろうて。雑草というだけあって、根枯らし蟲に付かれない限りは数日もせぬうちに生えてくるもんじゃ」


「やったぁ」


 ザムさんのお手伝いで増えたスコアは80とちょっと。


 ヒリング草以外の6種類の雑草をゴミ認定した。


 ザザム草(☆10)鎮静剤に用いられる

 イキリ菜(☆15)興奮剤に用いられる

 キリキ草(☆20)感覚が鋭くなるお薬

 ポイゾ菜(☆18)毒物

 カンミ草(☆05)とても甘い雑草

 ニガミ草(☆09)とても苦い雑草


 しめて77スコア。残り3。


 これでなんの憂いもなく明日の採取に赴けるね!


 帰りに今日の出来事を兄さんに語ったらびっくりされた。


 これでシャワー代まで浮くとは……とブツブツ言ったっと思ったら、その日のパーティはぜひうちに任せてくれ! 

 と頼もしい返事をくれた。

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