彼女から元カノへ

翌日の朝


「ちょっとなんで起こしてくれなかったのよ!」


小雪が大慌てで起きてくる。


「ごめんなさい。家事に手いっぱいで起こせなかったです。」


「うるさい!言い訳なんかどうでもいい!パン!焼いて机に置いといて!」



今、小雪が服を着替えながらパンをかじっている。


いうなら今しかない。


「小雪、大事な話があるんだ」


「うるさいこっちはあんたが起こしてくれなかったから時間がないのよ」


「僕と別れてください。今日中には荷物をまとめて出ていきます」


「なに?そんなことできないくせに。住む当てもお金もないあんたに何ができるっていうのよ」


「でも決めたんだ。これ以上一緒にいたっていいことなんかなにも」


「あーそうだちゃんとシャンプー買っておきなさいよ。あ、それと私今日外で食べてくるから。」


小雪はてきぱき準備を終え、最後にコーヒーを飲み干し会社に向かってしまった。




小雪、今朝は僕のことを一回も見てくれなかったな。小雪にとって今の僕は見る価値すらないということなのか。


「いままでありがとう小雪。そしてさようなら。」


同棲していた家と最後にデートにいったときに撮った写真に別れを告げ写真を玄関に置いた。



・・・・・・・・・


「ただいま」


おかしい。いつもはあいつが来ておかえりって返してくれるのに。

それになぜか電気もついていない。もしかしてまだ出かけているのか?

いいご身分なもんだ。帰ってきたら殴りだけじゃなく蹴りもいれてやろうかしら



翌日


私はあらかじめ自分でセットしたタイマーで起きた。


「おはよ」


私がおはよと言っても何もかえってこない。まさかあいつまだ寝ているのか?

私はあいつの部屋の扉を開ける。しかし


「・・・・え?」


もぬけの殻だった。タンスやベッド、机などは残っているもののあいつの道具やら服やらがなかった。


「そういえば昨日出ていくとか面倒くさいことを言っていたな」


どうせそのうち帰ってくる。


”早く帰ってきなさい。家出なんてらしくないわよ。帰ってきたらただじゃおかないからね”


メールだけ打って私は身支度を始めた。



・彼が出て行って一週間



”まだ帰ってこないの?あんたがいないから洗濯物がたくさんあるんだけど”


”一週間も未読無視ってどういうこと?あんたもいい歳しているんだから子供みたいにいつまでもすねないで。今なら軽いお仕置きで許してあげるわよ”


「どうかしたの?堺さん。顔が凄い険しいけど。もしよかったら話きこうか?」


神楽先輩が私を心配したのだろう。声をかけてきた。しかし私は今はあいつのことで頭がいっぱいだ


「いいえお気遣いありがとうございます。私は大丈夫なので午後の仕事に

戻りましょう。」


ああイライラする。なにしているのよあいつは



・彼が出ていって三週間



”私今まであなたに悪いことをしていたと自覚しました。反省しています。私を好きにしてもらっていいです。私が今まで君にしてきたことすべてを私にぶつけてもらって構いません。だから仲直りの意も含めて今度の休日またデートしたいです。返信をまっています”


私は今自覚している。今まで私がどれだけ彼を傷つけていたのか。私が彼をどれだけ愛していたのか。前に私はほかの人と付き合ったほうがよかったと彼に言っていたけれどそれは間違いだった。私には彼以外ありえない。彼以外の男と付き合うなんて選択肢でてこない。お願いだからまた帰ってきてよ刹那・・・



・彼が出て行って二か月


”お願いします既読だけでもつけてほしいです。刹那が出て行ってからこの二か月私は一人で家事をこなせるようになりました。これからは刹那はなにもしなくて大丈夫です。家事も買い出しも私が全部やります。それに、ここずっとシてこなかったけどこれからはどんなプレイでも君のすきなように毎日させてあげる。いや、私が君とつながりたい。帰ってきてくださいお願いします。君の帰りをずっとずっとずううううっと待っています”



・彼が出て行って●●後

私の日課は彼が大好きだと言ってくれた好物であるからあげを作ること、彼との思い出の写真を見つめることと彼との会話履歴を見ることになっている。


「今日も既読なしか・・・」


わかってはいる。けれど心のどこかで期待している自分がいる。確認するたびに期待を裏切られているような感覚に落ちる。しかしもう一度スクロールすると


”既読”


「!!!!」


既読がついた。私は泣いて喜んだ。彼がまた帰ってきてくれるに違いない。

私は会社のことなんかどうでもよくなり無断で早退、帰宅した





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