七月二十八日
「翔太クーン! ちょっとこっち来て~‼」
突然名取さんに呼び出された。なんだろうと思って名取さんの方に向かうと、そこには佐久間さんも一緒にいた。僕が不思議そうな顔をしていると名取さんが話を始めてくれた。
「翔太クンほんとはこういうことはあんまりやらないんだけど、佐久間中尉の専属の整備士にならないかって話なんだけど。でも流石に今は整備士が足りてないから佐久間中尉の機体を優先させる程度になると思うんだけど…」
「なんで、僕が……?」
「君の作業を見た時にとても丁寧だと思ったからね。それに更にぐんぐん技術が上がっていると聞いて、自分の機体は是非君に任せたいと思って。」
僕はどうすればいいか分からず、名取さんに視線を送る。
「僕は、その些細な優先程度なら許容範囲だし翔太クン次第だよ」
とりあえず、断ったら殺されそうだし大人しくオーケーしとくか……
「じゃあ、佐久間中尉これからよろしくお願いします。」
「こちらこそ受けてくれてありがとう。」
「じゃあ、翔太クンはもう大丈夫だからもどっていいよ~」
名取さんと佐久間さんはまだ話しているようだったが、僕はそそくさと持ち場に帰らされた。
夕食時にハルさんに自慢げに伝えると、ハルさんはまるで自分のことのように喜んでくれた。
「すごいじゃない‼ 佐久間中尉と言えば二十二歳で特異的に中尉になった方よ! その人の専属整備士になれるなんて!」
そんなにすごい人だったのか。現代で言うと大谷ポジションなわけだ。僕があの時感じ取った威厳は勘違いじゃなかったわけか。
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