第62話
「本気なの?」
「ああ、俺は本気だ」
「あれ、結構食べる私の友達でも無理だったけど」
「今日ならいける」
「どこから来てるの、その自信」
俺は今天野さんとカフェに来ている。周りにはパソコンで何か作業をしている人たちが多くいる。俺たちはというと、カップル割引のあるジャンボパフェの話をしている。
「よし、頼もう」
「私は知らないよ?」
タッチパネルに表示された注文を押す。届くまで少しかかるので、その時間は天野さんと雑談で潰す。
「あーあ。頼んじゃった」
「後悔するのが早いよ……」
「やけ食いだな。嫌なこと聞いた後だし」
「林君の話の何が嫌なことだったの?」
「昼に話し……あー、これは話してないか。その時刺されたのは会長の妹なんだ」
「え!?」
っと、天野さんが驚いていて固まっている間に飲み物が届いたな。天野さんはレモンティーを、俺は久々に来たこともあって冒険してみたいという気持ちになれず、無難に紅茶を頼んだ。
「天野さんや、冷めまっせ?」
「…………はい」
「学校では急に話されたからか脳が勝手に拒絶したけど、そこまで忌避してないつもりだし」
「でも……」
「いいって。聞きたいことあるなら聞いてくれ」
「じゃあ、一つだけ。会長は神崎君が苦しんでいることを知ってる?」
「知ってるよ。だからって俺を許すことはないだろうけどね」
「そっか。知ってるならいいんだ。許す許さないは個人の考えだし、私はそもそも無関係の人間だしね」
結構天野さんって淡白なんだよな。これが周りを気にしない秘訣なのかもしれない。いい学びを得た気がするけど、それよりも……。
「それより、天野さん」
俺と天野さんは同時にそちらに少しだけ顔を向ける。俺たちの目線の先には、あまりにカフェに似合わない巨体を持つ人物がいた。
「言いたいことはわかるけど一応聞くね、何かな?」
「田中先生が何でここに?」
「確か今日はお昼に早退したんだよね」
「そうだよ、急ぎの用事があるって言ってたけど……。カフェでのんびりして……!!」
そして衝撃のものが田中先生のいるテーブルに運ばれてきた。ジャンボパフェである。
そのとき俺は悟った。あれは無理だな……と。そのとき俺は愚痴った。写真と違うじゃん……と。
しかし、全て遅かった。
「見るの二回目だけど、相変わらず凄い量」
「あれがジャンボパフェだと!?」
「お待たせいたしました。こちらジャンボパフェになります」
何故なら、こちらにも大きさ量が同じのパフェが運ばれてきたからである。
田中先生の事を考えるのはやめた。
「もう食えない。夕飯いらない」
「あれを全部食べちゃったもんね」
「田中先生は妖怪だよ……。あれを五分で……。どこかのピンクの生物かよぉ」
「確かに早かったねぇ。見る見るうちに減っていってたもん」
「もう逆らわない。次逆らったら吸い込まれる、あの胃袋に」
帰る道、パフェのことと田中先生の化け物っぷりを話しながら歩く。
明日はいよいよ選挙だ。そして、天野さんとの関係の一区切り。とはいえ、生徒会に囚われたままなことに変わりはないので関わる機会はまだまだ多そうだ。
翌朝。いつものように天野さんに起こされ、朝食を食べて学校に歩いて登校する。
朝のホームルームから、選挙の演説が始まるので教室の黒板には荷物を置き次第、体育館に集合と書かれている。
ガヤガヤと話声のする体育館。始まるまであと数分、俺は最後の確認を天野さんとしている。ちなみに滅茶苦茶注目されている、体育館の隅にいるのに。多分ガヤガヤの大半は俺の悪口だな。
「いよいよだね」
「あ、バカ」
「へっ?」
あー、やっべぇ。仕方ないとはいえ、ここではまずい。おそらく近くにいた生徒には聞こえていただろう。そう、天野さんのため口だ。普段誰に対しても敬語な天野さんのため口だ。これは久々に命の危機到来かな?
「あ、す、すみません」
ぺこぺこと天野さんが謝る、それによって、さらに視線が集まってしまう。おいおい。マジかよ。今度の鬼は校内の全男子生徒か?もう不登校が一番安全じゃん。
「これは私の不注意で……」
「いや、いいよ。大本は俺だから」
俺の事は後回しにして、とりあえず確認を続ける。演説は練習通りやれば問題はないので、大丈夫だろう。ここで確認するのは、登壇のしかたなどの細かいことだ。
そして、時間になった。
「お静かに願います……。一同起立。只今より生徒会選挙を始めます」
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昨日の夕方に間違えて投稿しちゃった(*ノω・*)テヘ
誠にすみませんでした。
選挙部分次回で終わる予定です。
天野さんと宮野さんはなしで……次に見たいヒロイン(一 瀬戸 倉田 会田)この四人の中でいますか?
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