第46話

 開始ギリギリの時間に教室に入り四時間目の授業に参加した。何故ギリギリかというと先生と雑談していたからだ。だから、気絶した後のことを林に聞けていない。

 まぁ、昼休みに聞けばいいんだが。


 


 授業が終わり、昼休みに入った。


 林に話を聞こうと体を後ろに向けると、既にそこに林の姿はなかった。授業が終わったばかりだというのに、もう食堂に行ったのだろうか。行動が普段の倍以上の速さだ。


 林に聞けないなら赤石にでも聞くか。


 「赤石ちょっといいか?」


 「お、神崎。あの後のことか?」


 「そうそう、出来れば手短に頼む」


 「おう。神崎が気を失った後、皆して林に詰め寄って事の真意を問いただしたんだ。もう、すっかり神崎が学園のアイドルのどちらかと付き合ってるなんて噂を忘れたかのように。で、問いただしたけど林は全否定。時間切れで授業が始まっちまった」


 「そうか、とりあえず成功かな。ありがとう赤石」


 「ああ。というかあれ嘘だよな?」


 「そうだけど?」


 答えると赤石が手招きをしてしゃがむように要求してくる。その手に従って腰を折る。

 

 「ここだけの話でいい。実際のところどっちなんだ?」


 周りに聞こえないであろう声量で話す赤石。それに合わせて俺もボリュームを下げて話す。

 

 「あれはデマだ。俺は独り身だし、それに赤石も知ってるだろ?俺は志藤先生が好きだって」


 「あれは冗談だろ?ま、付き合ってないなら安心したよ。まだ、俺にもチャンスはあるってことだし」


 「それについては赤石の頑張り次第だろうな……」


 「男子生徒の中で一ノ瀬さんと距離が近い神崎に言われると、なんかムカつくな」


 「何でだよ。この前みたいに素直な応援として受け取れよ」


 一ノ瀬さんの好みとか知っていたら教えられたんだけど。いや、そこまでするのは余計なお世話というやつだろう。俺が何かするより、赤石が自分のペースで関係を進展させるほうが上手くいきそうだし。


 「おっと、悪い神崎。呼ばれちまった」


 「いいよ。俺も先生に呼び出されてるから、そろそろ行かないとまずい」


 「そうか、気を付けろよ?」


 そう言って席から立ちあがり、声のする入り口のほうへ歩いていく赤石。見ると数人の男女が待っている。赤石が人気であることが再認識できる光景だ。


 さてと、赤石にとりあえず聞きたいことは聞けたし職員室に行くとしますか。


 その前に一応連絡を……。




 「遅い」


 「五分です」


 「いや七分だ」


 「正確ですね」


 「遅刻だ。ペナルティを課そう」


 ペナルティ!?そんなの聞いてない!


 「いったいどんなペナルティを」


 「各教科の追加課題だ」


 「…………」


 「君は普段から遅刻も多いからな。ちょうどいい罰だろう?」

 

 「一教科どれくらいの量ですか?」


 「大体プリント十枚だ」


 じゅ、十枚!?ってことは合計約百枚のプリント……。それはやばい。下手しなくても腱鞘炎になりかねない。


 自分の手首を見て、黙っている俺に救済の一声が掛かる。


 「安心しろ。期限はそれなりに設けてやるさ。どうだ?いいペナルティだろう」


 拒否したい気持ちが強いけど、その後が怖いからなぁ。飲むしかない……か。


 「わかりました。請けましょうそのペナルティ」


 「やけに素直だな。いいことだ。先週はほとんど遅刻もしていなかったようだし、段々と戻りつつあるな神崎」


 「褒めても何も出ませんよ?」


 「そこまで褒めてないぞ。……おそらく、天野の影響なのだろう?」


 「それもありますね。流され易い性質なので」


 「平然と嘘を吐くな。ふぅ……、とりあえず話は終わりだ。行っていいぞ」


 「うい。失礼します」


 職員室から出て購買に向かおうと思ったが、天野さんが待っているであろう生徒会室のほうに向かうことにした。

 連絡は一応してあるけど、まだ待っているだろうか。


 俺は足早に生徒会室のほうへと進んだ。





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 久しぶりの夜投稿だぜ。ヒャッハー!

(朝までに書けなかっただけです。すみません)




 

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