第37話
「よかった〜。まだいた〜」
戸が開いたと同時にふわふわした雰囲気が生徒会室に充満する。
「休み時間の終わり際にごめんねぇ〜。天野ちゃんと神崎君、今日の放課後体育館くるよね?」
「はい。演説の練習があるので」
「俺はその付き添いで」
しかし、なぜそんな事を聞いてくるのだろうか?何故だか面倒事を押し付けられる予感がする。
「ちょっとだけ手伝ってほしいことがあってね〜」
あー。やっぱり面倒事だ。……ここ最近ホントにフラグ回収が早いな!!
「わかりました」
天野さん?!早いよ、了承するのが。
「ほんと〜?助かるよ〜。マイクの音量調整とかしたいんだぁ。少し早いけど、今のうちにやっておけば後で楽だし〜」
なるほど。その程度なら問題ないか。それに後でやるとなると、そっちのほうが面倒になりそうだからな。
「あれ?でも、私たちより前に演説練習してる方たちはどうしていたんですか?」
確かに……。まさかこの人、嘘ついてるのか?
「いやだな~、神崎君。わたしが嘘つく訳ないじゃないかぁ~」
久しぶりのエスパー登場か。この人に心読まれたら俺の学生生活終わっちゃうんだけど……。
「神崎君は表情に出ますから。わかりやすいです」
やっぱ、俺の顔が問題なのか?どうしたら治るんだ。教えてくれ誰か。
「それはいいから。で、どうしてたんだ?」
「ちょ、神崎君。先輩にため口は……。」
「ん~と。スピーカーの調整をしつつやってたんだけど、昨日演劇部の練習でいじったらしくって~」
天野さんに小言を言われるが、堅苦しいのは好きじゃないと言われたからな。えっ?前回会った時は敬語使ってたって?そんなのはきっと気のせいさ。
「演劇部は土日に練習は無いんですか?」
「ないらしいよ~」
「あったら今日やるって言った会長がポンコツになっちまう」
「神崎君……。会長と仲悪いの?言い方に棘があるというか」
「ナカヨシダヨ?」
「嘘つくの辞めたほうが良いよ、神崎君」
なぜバレた?!
「そうだよ~。嘘は良くないよぉ?」
嘘って認めたらあんたと不仲ってことになってしまうけどいいのか?え?……ま、バレてる時点で関係ないだろうけどさ。
「神崎君と会長って学校以外でも関わりあったの?」
「ない!!」
「えー。その断言の速さ、絶対何かあったじゃん」
「ないと言ったらない!」
「傷つくなぁ。あんなに仲が良かったのに~」
「記憶を捏造するなぁ!」
手伝いの話は何処へやら。いつの間にか俺と会長の関係の話に変わってしまっている。会長と俺の言い合いを見て天野さんの結論は、一方的に俺が会長の事を嫌っているということで落ち着いたらしい。
少し落ちつた俺たち。
そこでキーンコーンカーンコーンとチャイムが鳴る。
「えっ?」
「やば~」
「また、この流れか……」
三人それぞれの反応。とにかく言えるのは急がないと遅刻が確定するということだ。俺たち三人は急いで生徒会室から飛び出し、走ってはいけないとされる廊下を全力疾走で駆け抜け各々の教室へと向かった。
生徒会室の鍵は天野さん掛けてくれた。
ありがとう天野さん。
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復活です!
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