第3話 闇の中の君
オレはピンチを迎えていた。オレはクエストをこなすのが人よりも遅かった。いつも門限に間に合わず、門番に迷惑をかけていた。それでオレにはもうクエスト紹介しないという所まで来ていた。
そこでどうしたら良いのかオレは考えた。
ギルドマスターから貰ったアドバイスは1つ、考えるより手を動かしなさい。一つ一つの動作の間に何をどうするか。考えている間があります。と言われた。
それでオレは考えたんだ。でも分からない。今まで物事を考えて来なかった。だから失敗したんだ。これからは一つ一つの物事を考えて慎重に行動しよう。と思っていた。だがそれは自分を臆病にしていた。自信がない。自分がない人間になっている。
そんなオレに君が言ってくれた。
スピード重視で行動してみたら?考えるのはまず体が動きを覚えてからだよ。
そう伝えられて、それもそうだと思った。
思えば、失敗した過去を引きずってミスをする事を酷く恐れていた。怒られるのが怖く、叱れられ無いように完璧に物事をこなそうとしていた。それがそもそもの間違いだった。思えば昔からそうだったかもしれない。だが、誰でも分かる通り完璧な人間なんていない。完璧になろうとしても人から嫌われないことはあり得ない。嫌われたくなくて、心が傷つくこと、自分が辛いことから逃げていた。そんなツラい状態を我慢が出来ずに色々な事が続かなかった。
人に良く思われたくて未だに自分が出せていない。
だから子供みたいなのかと思った。
とりあえず、オレはミスを恐れずにスピード特化でクエストをこなす事に決めた。
クエストで決められた通り手順で行動し、動きをパターン化する。とにかく時間が命だ。普段の倍の速度で動いてみた。凄く疲れた。実際には倍の速度にもなっていないお粗末なスピードだろう。
だが前より速くはなっているはずだ。そういえば初めの必死な頃はこのスピードだった気がする。
という事は毎日の仕事は皆必死なのだ。日々必死で動いているからクタクタになって帰ってくる。その日の全力を1日にぶつける。この覚悟がオレは出来ていなかった。なんて奴だ。
しかしスピードを求めると今度はミスが必ず出るだろう。完璧にこなすことは無理なんだ。
ではミスをしたらどうするのか。まず謝まる。そして同じミスをしないようにどうしたら良いか考える。これが考えるという事なのかもしれない。
そして、今オレは限界だ。1日に使える体力には限度がある。皆それで家で寝て体力を回復しているのだ。寝る以外にも何かしらの娯楽に触れて気力の回復も必要だろう。そうして何とか自分を取り戻し、朝また必死に外への扉を一歩踏み出して行くのだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます