第2話 女神の慈悲
そう貴方は発育が人より遅れているだけなのです。それは悪いことではありません。ただ普通の人より大人になるのがゆっくりなだけです。もしかしたら大器晩成の器かもしれませんよ。
昔そのようなことを言われた。だが未だに俺は大人になれていないと感じる。それは人より世間の生活に触れていなかったからだ。一時期、外に出るのが恐ろしくてずっと部屋に閉じ籠っていた。人が怖くて他人と会うことに酷く怯えていた。
そんな時でも家族は何とか自分を死なせないように支えてくれた。
そのような訳で人より経験が圧倒的に少ないのだ。
失われた時間は大きく、ただ無駄に時間を浪費するだけの日々だった。人より多く経験を貯めなければいけない所を何もしていなかった。だが、親が懸命に諦めずに居てくれたから、死なずに生きていた。それで今に繋がっている。そう、俺は振り返る。
ある時、俺はギルドの紹介する職業支援所へと通った。そこでは俺と同じような悩みを抱え職業に付けない。もしくは続かない人々が多くいた。
そこで何故こんなに生きづらいのか。お互いに話し合った。最初は言葉が出なかった。頭で思っても口が動かない。字も書けなかった。しばらく書くということをしなかった為に文字が思い出せなかった。
そんな中で他人とふれ合う内に少しずつ心を取り戻していった。
しかし、長くは続かなかった。
いきなりある時ふと、原因は分からないが人との交流をシャットアウトしたくなった。たぶん自分の器の限界を超えたのだろう。そうしてまた、俺は引きこもってしまった。
では何故俺が部屋から出てきたのか?
それは災害を経験したからだ。
自分の住んでいる町に大嵐が来た。
それは壮絶な被害だった。家が壊れ、外に放り出された。俺は嫌が応に関わらず、部屋の外に出て生活しなければならなかった。
そこで俺は思った。このまま家に引きこもっていてはこれから生きては行けないと。
そうしてたまたま目に付いたクエスト募集の紙を手にして、俺はギルドの受付カウンターへと向かった。
そうして俺の再スタートが始まった。
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