~さらにその続き~ 決意と反抗期
「壊すよ、世界を」
リヒトはまひろにそう伝えた。
―自分の気持ちを大切にしたいから。
なんで?って聞いたまひろにリヒトはそう応えた。
世界を壊したい、世界を叩き伏せたい―。
暗いオフィスでまひろに放った言葉。意味合いは違っても、その言葉を発したリヒトの心は変わらない。
思い通りにいかない世界に、自分に優しくない世界にリヒトはとことん腹を立てていたし、絶望もしていた。
世界は美しい。
それを理解しても、そんなことで世界への怒りが収まることはない。いや、怒りをおさめちゃだめなんだ。
そんなことで怒りをおさめてしまったら、もう二度と、自分の感情を、思いを、大切にできない気がするから。
まひろはそっか、と軽く一言だけ頷くと、そっとリヒトの横へと位置をずらした。リヒトはそんなまひろにいくつか確認する。まひろが頷くと、リヒトはまひろと軽く拳をぶつけ、青き大きな星、地球と向き合った。
地球が全ての生命の母なる星なのだとしたら、これはきっと、その息子である自分にとって、遅れてきた反抗期なのだろう。
「せーのっ!」
リヒトは拳を振りかぶると、そのまま全ての思いと力を乗せて、拳を地球に向けて突き出す。
月を破壊したときとは比べ物にならないほど巨大な光の奔流がリヒトの指輪から迸る。
迸ったその光は地表面に細い光の糸となって突き刺さると、そのまま奔流となって地球を包み込んでいった。
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