《閲覧注意》不倫旅行、四日間の裏切り (愛梨)
※寝取られが嫌いな人は注意してお読み下さい。
冬矢くんに会う前にポシェットに外した結婚指輪とペンダントをしまった。
これを付けていると、シュウに見られているようで怖かったから。
この四日間の私はシュウには見られたくない。
だって…… 冬矢くんのために、あの頃のように冬矢くんのことが好きだった私に戻っていたから。
『悔いなく死ねる』
傷付けた、昔好きだった相手にそんな事を言われてしまったら……
演じるだけでも良かったのかもしれない。
でも、そうすると冬矢くんを最後まで弄んで捨てた酷い女になってしまいそうで、どうしてもしたくなかった。
今、この時だけはシュウの事を忘れ、冬矢くんにだけ向き合い、笑顔でお別れするために……
「来てくれてありがとう」
「うん…… 冬矢くん、旅行に誘ってくれてありがとう、せっかくの旅行だし楽しもうね」
「エリ…… そうだね、じゃあ行こうか」
そして私は冬矢くんの車に乗り込み、旅行先に向かうために空港に向けて出発した。
車内では冬矢くんと付き合っていた当時に聴いていた覚えのある曲が流れ、懐かしさで更に付き合っていた頃の気持ちを思い出した。
私達の話題は映画や音楽、その中で使われている映像技術やそれに対する趣向などを話す。
映像関係の話はお互いに目指していたものが似ていたので話が合うから、思いの外話題は尽きなかった。
そして空港に着き、飛行機に乗って目的地まで向かった。
冬矢くんと歩いている時は夫婦なのだからとずっと腕を組んで歩き、ふとした瞬間にキスをされたりと…… もし誰かに見られていたら、とても仲が良い夫婦だと思われていたかもしれない……
そして一日目は、空港からすぐの高級なホテルに泊まり、豪華なディナーと一泊いくらするのか分からないくらいの高級な部屋に泊まって……
「エリ、やっぱり綺麗だね……」
「そんな…… ありがとう、冬矢くん」
部屋に入るなり冬矢くんに抱き締められて…… あとは……
冬矢くんを ……受け入れた。
『愛してる』と何度も囁かれ、何度も……
「……エリも、今だけは僕の事を『愛してる』って、言ってくれないか?」
何度も何度も…… おかしくなるくらい……
「……っ!! あ、愛してるっ! 愛してる、だからっ! お願い、冬矢くん、もう…… 止めっ……」
止めてと言っても時間をかけて、最後には、訳が分からなくなるくらい……
そして……
「エリっ!! ……愛してるっ、っ!」
私は…… 冬矢くんを想いを身体を使って受け止めた。
…………ピルはある ……大丈夫 ……今だけだから。
本来なら、シュウとすべき事を……
じわりじわりと心の奥から滲み出てくる罪悪感を、冬矢くんは忘れさせるかのようにまた求められて、私は……
罪悪感が、と言いつつ反応してしまう私に嫌気が差しながらも、抗えない快感に溺れ……
…………
「おはようエリ、目が覚めたかい?」
「……冬矢くん、早いね、おはよう」
朝からノートパソコンに向かっている冬矢くんに挨拶をし、上体を起こした私はベッドの脇に置いてあったガウンを手に取り、羽織ってから起き上がった。
朝になり明るくなったおかげではっきりと分かる、跡が残るベッドを見て再び罪悪感に襲われる。
しかし、もう仕方がないことだと諦めて、何事もないように笑顔で冬矢くんの側に行こうとしたら
「先に風呂に入って来たら? 僕も入ったけど…… お互いにちょっと、ねっ? それにちょっと引き継ぎの仕事が残っていてね、だからさ、入ってきなよ」
「うん、仕事の邪魔をしたら悪いから、そうするね」
そして私は化粧ポーチを持ってお風呂場に向かった。
脱衣場でガウンを脱ぎ、お風呂場に入る前に化粧ポーチに入っていたピルを飲んでからお風呂に入った。
あちこちに残る赤い痣のような痕、そして溢れてきた、注がれた冬矢くんの想い……
少し涙が出てきたが、全部私が一人で決めたことだからと、シャワーを顔に当てて涙ごと洗い流した。
お風呂から上がると、仕事を終えたのか冬矢くんはコーヒーを準備してくれていた。
そして冬矢くんが座っていた二人掛けのソファーの隣に座り、淹れてくれたコーヒーを寄り添いながら飲んだ。
穏やかでのんびりとした朝を過ごし、少し遅めの朝食を食べた私達は、チェックアウトして、レンタカーを借りて次の目的地である温泉地へと向かった。
「身体は大丈夫かい?」
「えっ…… う、うん、冬矢くんこそ……」
病気なのに、あんなに…… 大丈夫なの? と聞きたかったが、言葉が出てこなかった。
私が聞いてもいいのか、聞いてしまった後…… シュウの元に戻れるのだろうか、そんな不安から私は怖くて聞けなかった。
「あははっ、大丈夫だよ、びっくりするくらい元気なんだ、だから余計に…… いや、旅行中だからこんな暗い話は止めよう、せっかくエリと二人で旅行をしてるんだ、楽しい思い出にしたいからね」
「そう、だね…… 冬矢くんが大丈夫なら私はいいんだけど……」
「次の温泉宿では二泊三日…… たっぷり時間があるから、お互いに楽しめるんじゃないかな、時間も忘れて……」
そう言って信号待ちの間、冬矢くんは私の手を握ってきた。
恋人のように指を絡め、しっかりと、まるで離さないと言っているように……
二泊三日…… もし、昨日の夜のように求められたら…… 私は大丈夫だろうか。
そんな不安を胸に抱きつつ、車は温泉地に向けて順調に走り出した。
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