再び恋人~結婚、そして…… (シュウ 二十歳~現在) 1
愛梨が専門学校を卒業した後、俺達は本格的に同棲するため、もう少し広い部屋を借りる事にした。
そして引っ越しを終え、俺達の新たな生活が始まった。
二人で生活する事になったので、愛梨は生活費のため在宅でも可能な映像編集やデザインなどの仕事を始め、毎日のように自宅のパソコンで作業している。
俺はというと、将来のため今から工務店の社長として働けるようにと、引き継ぎや挨拶回りなどで大忙し、ただ、家に帰ると愛梨が居て、俺を出迎えてくれるから毎日が楽しくて幸せだ。
「おかえり! うふふっ、今日もお疲れ様」
「ただいま…… 愛梨ー、疲れたぁ!」
「きゃっ! ……もう、甘えん坊なんだからぁ」
約二年、俺達にとっては辛い時期だったが、その分より一層愛梨の事を大切にしたいと思えるように成長出来たのかもしれない。
愛梨もそう思っているのか、高校時代よりも色々と積極的になった気がする。
一緒に生活しているからか高校時代よりも仲良くて、風呂もたまに一緒に入るし、寝る時も一緒のベッドで寝ている、まるで別れていた二年間という時間を埋めるように俺達は過ごしていた。
関係が修復し同棲を始めて…… 身体を重ねる日もある。
さすがにお互いに仕事があるから高校時代のように暇さえあれば…… とはいかないが、うん、大好きな人と同棲しているから、そこそこ仲良くはしていると思う。
そしてやっぱり愛梨はずっとあのペンダントを外さずに付けていたみたいだ。
再会して前のアパートで久しぶりに仲良くしている時に付けていたので聞いてみたら
『どうしても外せなくて…… これがあったから…… 東京の生活が続けられたのかも』
少し気まずそうに笑いながらそう答えた愛梨に、俺も一緒だと伝えると
『ふふっ…… 駄目だね私達、これからはちゃんと話し合おうね?』
そう約束を…… 約束をして、今はお互いに思っていることを積極的に話すようにして上手くやっている。
同棲するにあたって家事は分担していた。
しかし料理だけは愛梨がすると言ってきかないのでやらせてもらえない。
愛梨曰く『だってシュウが料理すると味付けが濃くなっちゃうんだもん! 健康に悪いよ?』という事で、料理に関してはすべて愛梨に任せている。
その分、掃除や洗濯などをしているのだが、ここ数日は仕事が忙しくて愛梨が俺の分を負担してくれているので、今度の休みのデートは愛梨の希望をなるべく叶えてあげよう。
「今度の休み、行きたい場所とかあるか?」
「うーん…… 私はドライブに行きたいなぁ」
「ドライブ? 俺はいいけど、いつも通りと言うか、それでいいの? という気もするが、愛梨が行きたいなら喜んで運転するよ」
「うふふっ、シュウの運転で隣に座ってるのがいいの! ……あっ! それなら海が見たいなぁ」
「海かぁ…… 高校の時は電車で行ったきりだよな、じゃあそうするか」
「うん! ふふっ、楽しみ…… あっ、水着は着ないからね? うふふっ」
水着か…… 高校生だったあの時は、愛梨の水着姿を周りの人にジロジロ見られて嫌な気分になったから、俺も着ないでくれる方が嬉しい。
なんせ愛梨は目立つからな…… 特に一部分が。
「もう! どこ見てるのー?」
「ははっ、ごめんごめん」
そしてデートの日、車を走らせ海に着くと、二人で手を繋ぎながら砂浜を歩き、寄り添いながら海を眺めた。
波打ち際で足を海に入れて『冷たい』と笑い合ったり、ビニールシートを敷いて座りながら愛梨の用意してくれたサンドイッチを食べたりと、楽しくのんびりとした時間を過ごし……
「そろそろ帰るか」
「……うん」
だいぶ日が傾き、少し肌寒くなってきたので帰宅する事にした。
そして帰り道に、海沿いにある一軒のホテルを発見した。
そういえば高校時代に小葉紅さんの店に行った時…… もう大人だし、いいよな?
「愛梨、あそこに寄っていかないか?」
俺がホテルの方を指差して言うと、愛梨は少し驚いたような顔をしていた。
「えっ? ……ホテルに行くの?」
「ああ、あの時と違って大人だから大丈夫だろ?」
「……うん、そうだね」
「じゃあ行ってみよう、初めてだし緊張するなぁ……」
「ふふっ…… 私も……」
愛梨も少し緊張しているのが表情が硬いというか、笑顔が少しぎこちないというか…… あまり深く考えないようにして、俺達は初めてホテルへと入っていった。
その後も俺達は協力しながら楽しく暮らし、再会し復縁した約一年後……
「この公園懐かしいね…… うふふっ」
「そうだな…… 愛梨」
「なぁに?」
「……愛梨を愛してる、ずっと一緒に居て欲しい ……俺と結婚してくれ」
高校一年の時、お互いに意識をして、お互いに告白した思い出の公園……
『なぁ古江、俺達毎日のように一緒にいるな』
『う、うん、学校の行き帰りは毎日一緒だね』
『友達にしては仲が良いよなぁ』
『うん…… 友達、なのかなぁ、私達』
『友達よりも仲良いだろ』
『そうだね、まるで…… 恋人みたい』
『『じゃあ…… えっ!?』』
『じゃ、じゃあ何だよ』
『黒田くんこそ……』
『……じゃあ付き合っちゃう?』
『ふふっ、何それ…… じゃあ付き合っちゃおっか』
『古江こそ何だよそれ…… あははっ!』
その思い出の公園で、俺は愛梨にプロポーズをした。
「はい! よろしくお願いします…… うふふっ、私…… 凄く嬉しい、私も愛してるよ…… シュウ」
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