第38話 彼女たちの選択
般若のような形相で俺に襲い掛かってくる彼女たちだったが大地が鳴動し、地面から溶岩が噴き出し始めた。
「星の終わりが近い…。
こんなところで油を売ってる場合じゃないな…最後の仕事をしなくちゃ…」
大地に足をとられて思うように動けない彼女たちを残して竜族の人にエクセリアまで運んでもらった。
竜族の方にお礼を言い村に入ると、機関士のおじさんたちが俺を待っていてくれた。
「おう艦長!準備出来てるぜ!」
「ありがとうございます。
あとはスイッチ押すだけ、ですか。では協力者の皆さんと先にエクセリアの脱出艇で女神様に新天地へ飛ばしてもらって下さい。」
「本当にやるんだな?」
「えぇ、皆さんの献身には報いましたので、あとは俺たちの痴話喧嘩ですから」
そう言ってにっこり笑うとスイッチを受け取り彼女たちが来るのを待つ為に機関室への道を歩いていく。
「聞いたな!総員退艦準備!裏口から脱出艇に向かえ!」
残っていてくれた彼らの退艦する喧騒を聞きながら彼女たちがいつ来てもいいように機関室内部で腕組み仁王立ちをして待ち構える。
ややあって、艦内が静かになった頃彼女たちがやってきた。
「やっと見つけたぞクソガキ……」
「黙って死ね」
「そうかい。だがそれはお断りだ!」
不意を突いて手榴弾を投げつける!
彼女たちはバリアスキルが切れたのかスキルを使わず物陰に飛び込んだ。
「その位お見通しなのよ!」
ユンファが物陰から多数のナイフを俺に投擲してくる。
頭と心臓と喉以外は当たってもいいという思いでガードし、そのすきに近づいてきていたパオラの側頭部を蹴り飛ばす。
幾ら元使徒とはいえ側頭部を蹴られて脳が揺れては立ってるのもつらいのか頽れて嘔吐している。
「チッ、使えない女ね!」
「今度はユンファか……」
彼女の攻撃をどうにかいなしていたが血を流しすぎたらしく段々と寒くなってきたので最後の力を振り絞って彼女たちを電磁拘束する為のスイッチを押す。
「「アアアアアアアアアア!!!!!」」
二人してびりびり痺れているのを見つつ背中から壁にずりずりと座り込む。
「はぁ…はぁ……駄目だ、死ぬ…最後の…最後で……」
そうして震える手で最後のスイッチを押す。
瞬間光が溢れ俺たちはこの世界から消滅した――
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