第36話 マリア

 マリアさんは元暗殺者だ。

ミシェイルさんに一目惚れしたマリアさんが猛アタックして射止めたという噂は二人のラブラブっぷりを見てれば真実だとわかる。


 そんな二人を引き裂いた奴は絶対に許さない。

だがそれよりも今はマリアさんの対応が先だ!


「あらあら坊やが危ないおもちゃを持ちだしたらダメよぉ。

手首ごと没収、ね!!!!」


 俺を見つけるとたしなめながら一直線に飛び掛かってくる。

横から槍や剣でエルフ族の男性たちが攻撃しようとするが彼女はすれ違いざまに首をかき切り、彼らの首から命の花が咲いていく。


「化け物かよ…!ならこれだ!みなさんすみません!」

神速のごとき速さで俺との距離を詰めてくるマリアさんだが突如として下からつき上げる石柱により残っていた人たちと共に空中に投げ出されるマリアさん。


 彼女なら八艘飛びの要領で人の体を伝ってこっちに向かってきそうな気がしていたので二段構えの横から鳥人族の方たちに風魔法を使ってもらいマリアさんだけを空気の刃と共にタウロニオの方に叩き落とす。


そうして落ちて行った先で今度はエルフ族の男性たちが文字通り命を懸けた重力魔法でマリアさんを地面に叩き付け彼女は大地の染みとなった。


 一緒に飛んだ彼らは空中で既に事切れていた為ドワーフ族によってふかふかクッションと化した地面におちて丁寧に運ばれていったよ。


「はぁ?!マジかよあいつら…引くわー…」


声は聞こえないが大体何を言ってるかわかるので敢えて記しておく。

援護もしなかったてめぇが言うなよ…

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