第33話 ルセリア
星の崩壊も近くなって下界が慌ただしくなっているある日――
女神ルセリアは自分の使徒への加護が切れていることに気づいた。
上手く隠蔽されてはいるが星の管理を任されている女神、星内のことなら意識をすればなんでもわかるのだ。
気付いたからには確認するのが彼女の中では普通である。
そうして使徒パオラの状態を確認すると女神は嫌悪感を露わにした。
「誰だこいつ…なんであたしの使徒とヤってんの?」
タウロニオである。
ルセリアはその顔をよく確認したところその男に見覚えがあった。
「ユニス」
名を呼びながら手を二度ほど叩くとどこからともなく召喚されたのは女神ユニスだ。その格好はナイトキャップにパジャマといういかにも寝てましたというような格好で呼び出された彼女は寝惚け眼で管理パートナーであり主人でもあるルセリアの呼びかけに応える。
「はぁ~い…むにゃ。
よんだぁ~?」
「……寝ていたところ悪いね。緊急の決定事項を伝えるからちゃんと起きれるかな」
「……ッハ!
ごめんなさい、寝惚けていたみたいだわ。」
「うん、ウカを洗い流すなんて甘いことはしないわ。壊して創り直すね」
「そっ…えっ?ちょっとルセリア?落ち着いて?せめて使徒新井に託宣をしてからの方がいいと思うわよ?」
「彼からの要請も今届いたんだよ。
彼は責任を取って星と一緒に魂ごと消滅するのを望んだわ」
「え…?あ?使徒への加護が切れてる…?」
「うん、それね。あほの転生者がやりやがったわ。次の目標はあたしたちみたい」
突拍子もない事をさも当然のように言ってのける管理パートナーに焦りながら思い留まるように説得するが聞き入れられず、あほの転生者と聞いて女神ユニスの脳裏に自己中なチャラ男の顔がよぎった。
「も、もしかして…あいつ?
私達の事をまだ諦めてなかったのね」
「そうみたいだね。
奴が新井に遭遇したら死ぬ運命にしてあるんだけどアイツうまいこと逃げてるんだよね」
「はぁ?ルセリアの運命操作の強制力にあらがうなんt…っ!?」
ユニスは戦慄した。ルセリアの表情が無だったからだ。この表情をするときの管理パートナーは言ったことを必ず実行すると長年組んでいる彼女にはわかってしまったのだ。故に彼女は理由を問う。
「で、でもどうやって…」
「ブラックホールだよ。」
その方法は大気圏外に進駐した際に遭遇した群れの一つを撃滅した時と同一の方法だった―――――
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