第17話 パオラ


 パオラさんとデートを開始したのは良いのだが彼女に連れられて駅周辺から駅またいで隣町の駅まで電車で行ったりずっと彼女に振り回されっぱなしだった。

勉強や長女のプレッシャーを少しでも和らげてあげることが出来たならよかったと思う。


そうして遊びに遊んだ帰り道、最後にパオラさんが地元の街が良く見える公園に連れてってくれてそこで二人して夕焼けを眺めていると彼女の足に黒いものがついているのが見えた。


「ねぇ、ライ君。

今日、楽しかった?

あたしの体力で振り回しちゃったから疲れちゃったよね?」


「どれも初めての体験ですごく楽しかったよ!」


「ならよかったぁ♪

ライ君の照れた顔も可愛かったし今日は来てよかったぁ♪」


「うぅ…あの事は忘れてよ。

ねぇ、パオラさ「パオラって呼び捨てにして」あー、うん。パ、パオラ。」


「なぁに、ライア♪」

してやったりといった顔のパオラに照れながらも意を決して伝えなければならないことがある。


「あのね、パオラ足疲れたでしょ?

俺マッサージしようか?」


「えぇ?なにそれぇ♪

ライアのスケベ♪」


「いやいやそんな不純な気持じゃないからっ」


「えぇ~?ホントかなぁ?」


「ほらいいからいいからちょっとベンチに座って!

マッサージするからさっ」


 からかうような彼女にドキドキさせられっぱなしな俺だったが今は彼女の足についている黒いものへの対処が先だ。

 彼女の夢を奪わせやしないぞという思いでマッサージをしつつ黒いものに最初から持っていたスキル「洗う」を使う。


「ひゃんっ」

使った瞬間お湯みたいなのが出て足にかかったパオラはびっくりした声を上げた。


「あ、ごめんちょっと汚れてたからスキルで綺麗にしたよ。」


「あ、そうだったんだ?

もー突然だとびっくりするから声かけてよぉー」


頬を膨らませながら怒る彼女に謝りつつ足首から膝に向けてもみほぐしていく。

こんな時自分の小さい手がうらめしい。


「あっいいかも。

ライアはマッサージも巧いんだねー♪きもちー♪」


「そう?よかったー。

はいお客様次は反対の足を出してくださーい。」


「お店かっ」


二人して笑いながらマッサージを続けた。


「さってと、暗くなってきたしそろそろ帰らないとパパたち心配するし帰ろっか?」


「そうだね。

しっかりエスコートさせていただきますよ。お姫様。」


名残惜しそうに手を差し出すパオラの手をそっと握り恭しく礼をする。


「もー、すっごい照れるんですケド!なにそれどこで覚えたの?」


「内緒でーす。

さ、まいりましょう」


顔を真っ赤にしながら年下にエスコートされる女の子っていいと思いませんか。

そうしてからかったりしている内に彼女の自宅の前についた。


「ライア、今日はありがとね?

すっごいすっごい楽しかった!

またあそびいこーね!」


「うん!俺もすっごく楽しかった!

それじゃあ、うん。また、ね?」


「あっ…ね、ライアちょっと待って!」


握っていた手を名残惜しそうに放して手を振って帰ろうとしたらパオラから呼び止められて振り返るとパオラからぎゅっと抱きしめられた。


「んん?どうしたの?」


「あたしね、ライアが好き。

弟とかそんなんじゃなくて一目見たときからすっごい好きなのっ

会って間もないのにこんなに好きになるなんておかしいのかな…おかしいよね。ごめんね。」


「パオラ…俺も好きだよ。

最初はスキンシップが凄い人だなって思ったけどね。

夢を語る姿や何事にも一生懸命な所や何より可愛らしいところがとっても愛おしいと思ってるよ。」

自分史上最高の口説き文句を彼女の頭を撫でながら真剣に伝えた。


「うんっうんっ…あたしも愛してるっ」

身体を少し離して彼女の涙を拭い手を頬に添えた所で

俺の顔を見つめながらパオラがそっと目を閉じる。


「パオラ…」


これが俺のファーストキスだ。


その後窓から見ていたらしい彼女の父親に咳ばらいをされるまで俺たちはイチャイチャし続けていた。



 帰り道自分でもわかるくらいニヤニヤしながら暗くなった道を急いで家に走っていると道に人が倒れていた。









※次回からドンドン洗うはずです。_(´ཀ`」 ∠)_

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