第31話 緊張と心地良さ

朝の件を山上さんにもう一度確認しようと休み時間の度に様子を窺っていたのだが、常に周りに人がいるので全く話しかける事が出来ず、もう昼食の時間になっていた。


俺はいつもの場所で一人食べていたのだが、

もしかしたら山上さんが来るんじゃないかと

少しだけ期待していた。

…うん?何かチャットアプリにメッセージが来てる。…山上さんからだ!


「友達に捕まってしまっていてお昼そちらに行けません…。寂しいです…。」


うーん、どう返事したらいいのこれ?

捕まるってどんな表現なんだよ(笑)とかツッコミでも入れればいいのか?

寂しいです…。って何なんだ、これは。

真意が分からなーい!マジでなんて書こう…。

迷った俺は、それっぽい返事をする事にしてみた。

「そっか。了解。俺も寂しいよ。また後でたくさん話そうぜ!」

俺も寂しいよとか自分で書いていて寒気しかしないが、あちらがそう書いてきているので

許してほしい。


そう書いて送るとすぐに返信が来た。

「夜電話楽しみにしてますねっ!」

…やっぱり電話するのね。確認をとれたのでとりあえずミッションクリアだな。


いや、むしろミッションスタートか?

昨日のように緊張せずもう少し自然に話す事が出来るといいんだけどなー。

そんな事を考えていたら、あっという間に放課後になった。いやー、午後の授業が全く頭に入ってないね。参ったな、こりゃ!

アッハッハッハ。…帰るとするか。


ちなみに山上さんは友達に連行?されていったので教室にはもういない。


夕飯は作る気にならなかったのでコンビニでお弁当を買って帰宅した。


それからソワソワしながら課題をし風呂に入った。

…そろそろ昨日電話がかかってきた時間だな。あっ、かかってきた。

「もしもーし」

「坂井君、こんばんはっ!」

「こんばんは山上さん」

よし、昨日よりはマシに喋れそうだと思っていた時だった。


「あの、テレビ電話したいです!」


…前言撤回。

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