第24話 それぞれの夜

家に帰ってから俺は考えていた。

山上さんはなぜ俺に話しかけてくるのか。

隣の席だからなのだろうか。

前にも思った事だが山上さんは基本的に男子と話をしない。必要最低限はしているが、

自分からは決して話しかけていない。


なのになぜ、俺には話しかけてくるのだろうか?

俺に話しかけてもメリットなどないはず。

…んー、やはり分からん。


そんな事を考えているとスマホが鳴った。

「もしもし」

「おう、隼人元気か?」

俺の数少ない友人、富田勇二だった。

「おー!元気元気」

「実は隼人に報告したい事があってな!」

テンションが高いのでよほど良いことがあったのだろう。

「どうした?」

「実はな、彼女が出来たんだよ!」

「は?彼女?」

「おうよ!初彼女だ!」

そう、勇二はモテるのだがなぜか誰とも付き合ったりした事はなかった。

「へー!ついに付き合ったのか。今まで誰とも付き合った事なかったもんな」

「ビビッと来てな!俺から告白したんだ!」


正直驚いた。まさか勇二が自分から告白するとは。

「そっか。彼女大切にな」

「おう!ありがとう!」


「で?隼人はどうよ?」

俺は最近の身の回りの出来事を勇二に話した。

「今日はクレープを一緒に食べてきた?」

「うん」

「2人で行ったんだよな?やっぱり脈アリなんじゃないか!」

「脈とかないから。まぁこの関係を大切にしていきたいとは思ってるんだ」

「はぁ…。その子も大変だな」

「ん?なにがだよ?」

「いいや~。なんでもない。夏休みにでも、そっち遊びにいくからなー!」

「おう、待ってる。じゃ」


電話を切った俺は、急な睡魔に襲われそのまま眠りについたのだった。


一方、その頃…

「楽しかったなぁ…」

最近は坂井君と一緒にいられる時間が増えて

とても嬉しいです。

今日はクレープ一緒に食べに行ってくれましたし、食べさせてもくれました♪

それからお店の人に彼女だと勘違いされてしまいました~~!!

…本当に彼女になれるように頑張らないと!


そのためには、坂井君にもっと意識してもらえるようにしないといけませんね!


私は、そんな事を考えながら眠りについていきました。

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