第23話 放課後 2

学校から歩きだした俺と山上さんだったが、

幸い生徒は既にほとんどおらず目立つ事はなかった。

俺は全く関係ないが、山上さんは入学早々から告白されまくっているような人だからな。

俺と歩いていて変な噂になったりして山上さんに迷惑がかかるのは避けたい所だ。


「人が少なくなっていて良かったね」

そう言うと山上さんは、キョトンとした顔をして「どうしてですか?」と言ってきた。

「だって2人で歩いていて変な噂になったりしたらイヤでしょ?」

俺はそう言ったのだが、山上さんは頬を

プクーッと膨らませて「私と噂になったらイヤなんですか?」と聞いてきた。

「え、えーと俺は全然。山上さんみたいな人が俺みたいな暗いヤツと一緒にいて、なんか噂になったりしたらイヤかなぁと思ったんだけど」

「イヤなんてとんでもないですっ!

むしろ噂になってほしいぐらいです!!」

「え?」

「い、いえ!なんでもないですっ!」


…噂になってほしいとはどういう事なのだろうか。まぁ、深く考える必要はないな。


そんな話をしていると山上さんが「あ!」と

声を出した。

「ん?どうした?」

「あれを見て下さい!坂井君!」

山上さんが指を指した方を見てみるとクレープ屋さんがあった。

どうやら期間限定で出店しているようだ。


「クレープ食べませんか?」

「そうだね。食べよっか」


列もあまりついていなかったので並んだのだが周りが女性だらけで若干気まずいな。

俺達の順番がきたので俺はバナナチョコ、山上さんはイチゴチョコを注文した。

「お会計1000円になります」

山上さんがお財布からお金を出そうとしていたので、俺は札を1枚出した。

「これでお願いします」

「丁度頂きます。少々お待ち下さい。」


「坂井君、お金っ…」

そう言って山上さんはお金を渡そうとしてきたので、

「今度一緒に何か食べる時山上さんが払ってくれよ」と言うと山上さんは、

「ん~分かりましたっ!では今日はご馳走になりますね!」と言って納得してくれた。


話をしていると「お待たせしましたー!」と

言われたので、受け取ろうとした時店員さんから「可愛い彼女さんですねっ!デート楽しんで下さい!」と笑顔でクレープを渡された。

「あ、ありがとうございます」と返したが山上さんには聞こえていただろうか。


「か、彼女さんかぁ…エヘヘ」

なんか山上さんがつぶやいているな。

「山上さん、どうかした?」

「ふぇっ、な、なんでもないですよっ!

た、食べましょう!」

「うん…?」

なんか挙動不審になってるな。クレープ

よっぽど食べたかったんだなー。


「「いただきます」」

「うーん!美味しいですっ!」

「だな」

…じーっ。視線を感じるな…。

「あ、あの坂井君のクレープも一口頂いてもいいですかっ?」

…このパターンは食べさせて下さいっていうやつか?

「はい」

クレープを山上さんの口元に持っていった。

パクっと食べてから、

「坂井君の方からしてくれるなんて!」

なんかすごい喜んでくれてるな。良かった。

「美味しい?」

「はい、とっても。坂井君も…はいっ!」

クレープを差し出してきてくれたので食べたのだがとても甘い味がした。


それから昼食時には出来なかった趣味や学校の話をたくさんする事ができた。


「今日はありがとう。とても楽しかった」

「私もとても楽しかったですっ!また休日もご予定が大丈夫なら一緒にお出かけしてくれますか?」

「俺で良ければもちろん。いつでも大丈夫」

「ではまた約束ですっ!」

そう言って小指を出してきたので俺も小指を出して指を絡めた。

「フフ、ではまた」

「またな」


こうして放課後は思いもしなかった楽しい時間をまた過ごせたのだった。


……………………………………………………

お読み頂きありがとうございます!!


新作 父さん、母さんアシストいらんよ!

こちらも更新していくので是非お読み頂けたら嬉しいです!

https://kakuyomu.jp/works/16818093073969681756


宜しくお願いします!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る