第22話 放課後
結局食べさせ合ったりしていたので、お昼休みは山上さんとまともな会話はしていない。
今回は山上さんも満足してくれていた様なので、良かったのだがもう少し話をしたりしたかったなぁ…とか思ってしまっていた。
その後の休み時間は山上さんの周りには常に人がいたので話しかけるなんて全く出来ずに放課後になった。
諦めて帰ろうとしていたのだが、…うん?
隣の席から丸めた紙のようなモノが転がってきた。広げてみるとそこには「坂井君と一緒に帰りたいので昼食を食べた場所で待っていて頂けませんか?オッケーでしたら咳払いをお願いします。」と書かれていた。
山上さんは今友達と話しているのだが、
バレないようにこちらを見ずに紙を転がしてきたという事か。…やるな、山上さん。
俺としても、山上さんともっと話したかったのでこれは嬉しいお誘いだな。
俺は「んんん…!」と咳払いをしたのだが、
…あれ、なんか唸ったみたいになってしまった。
山上さんも思わずちょっと笑っちゃってるよ。
あー…恥ずかしい。とりあえずさっさと行って待ってるとするかな。
俺はそそくさといつもの昼食場所へと向かい、山上さんが来るのを待っていた。
数分後、山上さんが走ってやって来た。
「はぁはぁ、お待たせしましたっ!」
山上さんは全力で走ってきたのか息を切らしていた。
「そんなに急いで来なくても良かったのに」
「お、お待たせしてしまっているので」
「全然暇だから気にしなくていいよ」
「ありがとうございますっ!
坂井君は本当に優しいですね!」
「ふっ、当然さっ!」
冗談ぽく言ったのだが、山上さんは目を輝かせてこちらを見ていた…。
ツッコミが欲しかったんだけどなー…。
「…じゃ帰ろうか」
「はいっ」
俺と山上さんは帰り道をゆっくりと歩きだしたのだった。
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