第21話 楽しい昼食 完

「「いただきます」」

ようやくご飯が食べられるよ…。

うん、ありふれた普通のサンドイッチだが

お腹が減っているという事もあり、めちゃくちゃウマいな!

サンドイッチを夢中で頬張っていると、

「あの、坂井君?」

いかん、サンドイッチに夢中になりすぎた。

「ん、どうした?」

「サンドイッチ美味しいですか?」

「うん、美味しいよ」

「あ、あの良かったら私のお弁当と交換してもらえませんか?」

「え?」

交換?山上さんのお弁当と比べるとサンドイッチじゃ割りに合わないな。

「あー、じゃあその唐揚げだけもらえるか?」

「唐揚げだけでいいんですか?」

「もうお腹膨れたからな」

「分かりました。ではどうぞ。」

そう言ってくれたので、手で唐揚げを取ろうとしたその時だった。


「口を開けて下さいっ!」


…ん?山上さんよ、なぜ箸に唐揚げをとって

俺の口元に運んできているのかな?

「えっと…自分で食べれるから!」

恥ずかしすぎるので断ろうとしたのだが

「む~っ」

あ、なんか怒りそうだ。

仕方なく口を開けると…

「はい、あーんっ!」

唐揚げを食べさせてもらったが、味が緊張で全く分からん…。

「うん、美味しいよ」

「本当ですか!ありがとうございますっ!

自分で作ったんです!」

「そうなんだー…山上さんは料理上手だね」

「お料理好きなんです!」

「へー。あ、これサンドイッチ、コンビニで買ったやつなんだけど」

そう言って、一切れ渡そうとしたのだが―

「食べさせてほしいです!」

「えっ?」

山上さんは目を閉じて口を開けていた。

目は閉じなくてもいいんじゃないか?と

言おうとしたが、山上さんの顔はゆでダコのようになっていた。

恥ずかしいならやらなくても…と思ったが、俺も(強制で)やってもらったので仕方ない…

やるか。


「あーん」

パクっと食べて口をモグモグしている山上さんは正直天使かと思ったね!

「美味しい?」

「はい、とっても!坂井君に食べさせてもらったのでさらに美味しかったです!」

…山上さん可愛い過ぎるよ、本当に。

バカ正直にそんな事を言う訳にはいかないので「良かった」と無難に返しておいた。

山上さんが食べたのは一口だけだったので、

残りを渡そうとしたのだが…

「あーんっ」

…うん、口を開けてらっしゃる。目は閉じてるけど。

残りも食べさせて、唐揚げだけもらうと言っていたが山上さんが他のおかずも食べてみてほしいと言うので、結局色々もらってしまった。

山上さんが作ったお弁当なのに、なぜか俺が山上さんに食べさせるというよく分からん事をしたりして全部食べきった。


「ありがとう、美味しかった。今度は俺が何か作ってくるよ。」

「お口に合って良かったですっ!坂井君の手作り楽しみにしていますね!」

「おう」


めちゃくちゃ恥ずかしかったが山上さんの

おかげで楽しい昼食が過ごせたのだった。

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