第16話 約束

話が盛り上がった俺たちは、デザートも頼んだりして夕方近くまで一緒に過ごしていた。


「もうこんな時間だなー」


「とっても楽しかったです。坂井君はお休みの日はいつも何をされているんですか?」

「自宅警備員かなー」

「えっ?」

あ、しまった。自宅警備員なんて言って山上さんが分かるわけないな…

「あー…、いつも暇してるよ」

「そうなんですねっ!ではまたお誘いしても大丈夫ですか?」

まさかあの男嫌いそうな山上さんから、

そんな事を言ってもらえるとは…。

「山上さんの都合が良さそうな時にまた誘ってよ。俺はいつでも大丈夫だからさ」

そう言うと山上さんは満面の笑みで、

「約束ですよっ!」と言ってきた。


そして、小指を出してきた。

…ん、なんだ、これは。


「一緒に指切りしてくださいっ!」


指切りっ!?ハードル高すぎますって!?

友達もまともに作れていない陰キャ代表みたいな俺がこんな美少女と指切り!?

慣れない事を言われたので、キョドってしまっていると―

「約束してくれないんですか…?」

…いかん、山上さんが泣きそうな顔をしているよ。

仕方ない…俺は震えながら右の小指を出した…と同時に山上さんが小指を絡めてきた。


「約束です」

そう言って微笑む山上さんの顔を直視してしまった俺は顔が真っ赤になってしまうのだった―。









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