第15話 楽しい時間

「えっ…山上さん?」

まさか休みの日に山上さんに遭遇するとは。

「坂井君っ…!」

うわー…めっちゃ驚いてるな。

「参考書取って下さってありがとうございますっ!助かりました!」


「全然大した事してないよ。休みの日も勉強偉いね」


「坂井君も参考書手に持ってるじゃないですかっ!」


「俺は成績がヤバそうなんだ…だから仕方なく…ね。何か分かりやすいやつとかないかな?」

「えっと…それだったら…」

山上さんは、いくつか参考書をピックアップしてくれてペラペラめくってみるとどれも

分かりやすかったので全部買う事にした。


「教えてくれてありがとう。助かったよ。」

じゃあまたと言おうとしたのだが―


「良かったら一緒にお昼食べませんかっ?」

山上さんからお昼のお誘いをされた。


うん、確かにもうお昼を少し過ぎた時間だ。

あの山上さんが誘ってきてくれているのだから断る理由などなかろう…うんうん。


「うん。何か食べたい物とかある?」

「行ってみたいお店がありますっ!」


本屋の建物から出て、数分歩いた所におしゃれなお店があった。

「ここですっ!」

中に入ったが、女子率が異常に高いな…

はっきり言って居心地はあまり良くないが、

山上さんが楽しそうだしまぁいいか。

「何食べますか?」

「オムライスにしようかなぁ」

「山上さんは?」

「私はサンドイッチにします。ここのサンドイッチ美味しいって評判なんですよ!」

「へー、じゃあ俺もサンドイッチにしようかなぁ」

「私オムライスも食べたいので坂井君オムライス頼んで下さい。シェアして食べましょう!」

山上さんがそう言ったので、その2つをオーダーした。


「あ…あの…」

山上さんが何か言いたそうにしているな。

「どうしたの?」

「昨日の私の作ったお弁当って美味しくなさそうでしたか?」

「えっ、なんで?」

「良かったらどうですかとお聞きした時にすぐお断りされたので…」

もしかして、山上さんは俺が不味そうだから断ったと思って気にしてたのか…

「違う違う、その逆だよ」

「えっ?」

「すごい美味しそうに見えてたよ。でも分けてもらったら山上さんの食べる量が減っちゃうと思って断ったんだ。勘違いさせてたみたいでごめん。」


「いえ、こちらこそすみませんでしたっ!勝手に勘違いしてしまっていて…」


そんな話をしているとオーダーしていたオムライスとサンドイッチが運ばれてきた。

食べる前にしっかり皿に取り分けた。

ラブコメなどによくある「これって間接…」などになるつもりは毛頭ない。

心配するな、山上さん!

俺が皿に取り分けた時、山上さんはなぜか

少し残念そうにしていたが。

「美味しいな、どっちも」

「ですねっ!」

それから、テストの話や山上さんも読んでいるというラノベの話をしたりして会話は大いに盛り上がったのだった。

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