第12話 謎の昼食タイム
山上さんと挨拶をするようになってからさらに数日が経過したが、肝心の友達作りに関しては全く成果なしだ。一応、話しかけては
みるのだが、会話が続かない。
そんなこんなで、今日も昼食は一人で食べようと場所を移動した。教室で食べてもいいのだが、皆がキャーキャー言いながら食べているなか、一人は精神的にキツイ。
幸い、この学校は敷地が広いからなのかベンチがあちこちにあるので、人が来なさそうな
場所を選んで、くつろぎタイムといこう。
ちなみに、今日の昼食はコンビニで買った
焼きそばパンとあんパンだ。
「いただきます」
パンを食べようとしたその時―
「あ、あの私もここでお昼ご一緒してもいいですかっ?」
山上さんが、突然やってきてこんな事を言ってきたのだ。
「友達と一緒に食べないの?」
山上さんはクラス内でもいつも色々な人達から話しかけられているので、その人達と一緒に食べないのか?と思い聞いてみたのだが、
「坂井君と一緒に食べたいんですっ!」
と言われたので一緒に食べる事になった。
「横失礼しますね…」
そう言いながら、ちょこんと横に座って来たのだが、待てっ…距離近くね…?
ベンチは十分広いはずなのだが、山上さんは
なぜか膝が触れてしまいそうなくらい近くに
座ったのだ。
「詰めなくても大丈夫だぞ。ここのベンチは誰も来ないからな」
そう言って少し離れてもらおうとしたのだが
「分かりましたっ!」
…うん、微動だにしないんだが…
何が分かったんだろうか??
離れてくれそうな感じではないので諦めて、
焼きそばパンを口に頬張った。
「坂井君はいつもパンなんですか?」
山上さんが、こちらをジーッと見ながら聞いてきたので、
「まぁ、昼は大体パンだな」
「栄養バランスが偏ってしまうのでパンばかりではダメですよ」
「朝と夜はしっかり栄養摂れてるから大丈夫だよ。山上さんは、お弁当なんだね」
「はい。簡単なモノだけですけど」
チラリと中を覗いたが、バランスもバッチリだしめちゃくちゃ美味しそうだ。
「良かったら少しどうですか?」
覗いていたのがバレたのかそう聞いてきたので、「いや、大丈夫」しっかり断った(笑)
「そうですか…」
山上さんの食べる量が減ってしまうので断ったのだが、山上さんはなぜかシュンとしていた。
こうして山上さんとの昼食は、謎に重い雰囲気で終了したのだった。
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