第10話 初日
「あー、行きたくないなぁ…」
昨日さっそくスタートでつまずいた俺は
すでに気持ちがブルーになっていた。
昨日の夜、友人の勇二から連絡があり、
「入学式はどうだったぁ!?」と言って来たので、ありのままを伝えた所、
「笑顔でいけよ!!」などと言ってきた。
誰とも話していないのに笑顔だったら、
めちゃくちゃ不気味だと思うんだが…
もうなるようにしかならんと思い、
サッと朝食を済ませ、学校に向かう事にした。
学校に着き、クラスへと向かうと既にグループが出来上がっているではないか(泣)
よし、ぼっち道にいざ行かん!(笑)
まぁ、冗談はさておき、俺の今の座席は一番前のど真ん中という最も泣きたいポジションなので誰とも話せるチャンスがない…
立ち上がって話しかけにいこうかとも思ったが、陽キャ軍団のオーラに押し負けた俺は、結局寝たふりをして過ごした。終わった…
そのままHRの時間となり、担任教師から素晴らしい発言があった。
「さっそくだが、席替えをしたいと思います!」
俺は、心の中でガッツポーズをした。
今の座席は、出席番号順で座って居るのだが
これから移動教室などもしばらくはこの座席順になるだろうから、クラス内では席替えして色々な人とコミュニケーションをとってほしいという事であった。
ナイス、担任教師!
一限目の時間を使って、くじを引いて決める事になった。順番にくじを引いていって、
皆が一喜一憂しているなか、ついに俺の順番がやってきた。
頼む、後ろの方に座らせてくれ…!
そう思い、くじを引くとなんと…一番後ろの窓側の席をゲットする事が出来たっ…!
全員のくじが引き終わり、移動する事になった。
よし、情報分析だっ!まず前の座席は、男子が座っているのだが、大人しそうな感じだな!確か名前は佐藤だったな。話しかけてみるか。
「佐藤君、よろしく!」
「よろしく、坂井君。」
明るい雰囲気で話しかけてみたのだが、
なんかキャラがしっくり来ないな…
斜め前に座っているのは女子なのだが、ギャルっぽい雰囲気の子であっちの方に座っている女子とワーワー話している。
これは、俺話しかけられないなー…
そして、横の座席に座ってきたのがー
「私、山上亜美っていいます。
お名前お聞きしてもいいですか?」
横の座席に座った女子がそう聞いてきた。
「俺は、坂井隼人。よろしくです。」
「はい、こちらこそ!仲良くして下さい♪」
そう言って彼女はニッコリ笑っていた。
実は、彼女は学校でも可愛いと評判になっているようで、入学式初日からいきなり告白されたとか…
まぁ、当の本人は男子には関心がないらしく
クラスの男子とも会話していない。
話しかけられても、当たり障りのないように
返事をしているといった感じだ。
まぁ、話しする事はあんまり無さそうだな…
と思っていたのだが…
なんかめちゃくちゃ視線を感じるな…
横をチラリとみると、黒髪セミロングに顔立ちがはっきりとしたいかにもな美人山上さんが、こちらをジーッ…とみているな、うん。
「なんか俺の顔についてる?」
そう聞いてみると、
「ふぇっ…ジロジロみてすいませんっ…!」
ジロジロみてたんだ…
「あー…別に大丈夫。それよりなんか顔赤いけど大丈夫?」
「はいっ!大丈夫ですっ!」
まぁ、本人がそういうなら大丈夫か。
それから、クラス内で自己紹介を順番に行っていきこの時間は終了した。
それから、授業が行われていったのだが
横の席の山上さんはずっとチラチラ視線を
向けてくるのであった。
―山上さんside―
(なかなか上手く話しかけられませんっ!
頑張って話しかけないと!!)
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