第7話 お礼がしたいです!!

「あなたは私のヒーローです!!」

俺は、この発言について一瞬考えてみたが、

コレ深い意味はないなと考え、

「何もなくて良かったです。じゃ俺はこれで。」

と立ち去ろうとした。

「ヒーローさんに何かお礼がしたいです!!」

「あー…今から用事もあるので本当に大丈夫ですよ。」

本当は、用事など無いのだが変に気を使わせるのも申し訳ないので、そう答えた。


「そうですか…残念です…ヒーローさんはこの辺りに住んでいるんですか?」


「はい、この近くの高校に通う事になったので今日は辺りを散策してたんです。」


「ヒーローさん」と呼ばれる事に違和感を感じまくっていたが、あまりにもナチュラルに呼んでくるのでまぁいっかと会話を続けた。

「実は私もこの近くの高校に春から通うんです!」

見た目が落ち着いた感じだったから、歳上だと思っていたがまさか同い年だったとは…

この近くには、俺が通う高校の他にもう一つ女子校がある。社長令嬢などが数多く通っているという話しだが、詳しくはよく知らん。

なんせ、そんな事を話す相手もいないからな…

恐らく、彼女の雰囲気からしてそちらの学校だろう。長いストレートの黒髪に眼鏡をかけ同年代の女子と比べると、出る所もしっかり出ていて、先ほどのチャラ男が声をかけてきていたのも納得だなーなどと考えていると…


「もし良ければ連絡先を教えて頂けませんか?後日お礼をさせてほしいです!」

と言って来たので、

「スマホを家に忘れて来てしまって…

もしまた何処かでお会いする事があればその時にコーヒーでもご馳走して下さい」と答えておいた。

こう言っておけば、相手も納得するだろう。

「分かりました!次お会い出来た時には必ずお礼させて頂きますね!」

納得してくれた様なので、俺は「ではこれで」と軽く会釈して歩き出した。


数十メートル歩いた時になんか後ろから視線を感じふと後ろを振り返ると―

あの子がまだこちらを見ているな、うん。

何か顔赤くないか??

あ、目が合ったと思ったらペコリと頭を下げてあっちへ走っていった。


いつもしないような事をしたからか、当初のスーパーに行くという目的を忘れて家に帰って来てしまっていた。

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