第6話 ヒーロー?
スーパーへの近道を歩いていると、
「あっち行って下さい!!」
数百メートル先から女性の大きな声が聞こえた。
話しかけている相手の男は大学生ぐらいで、見るからにチャラそうな雰囲気である。
状況を察するに、断られているにもかかわらずしつこく女性に迫っているようであった。誰か助けてくれそうな人が周りにいないか見回してみたが、この道は裏道という事もあり人は俺以外近くにいなかった。
「んー…どうすっかな…」
正直回れ右して引き返したい気持ちであった。だが、他に周りに人が居ない以上このまま放っておくと、女性に危害が及ぶかもしれない。そう思うと、足は自然と前へ進んでいた。
どうスムーズに間に入って助けようか一瞬で考えてみよう。
1:「何やってんだよ!」と殴りかかる
…これは無いな、俺はそもそも喧嘩などした事がない。逆に殴られそうだし、仮に殴ったとしても俺がポリスのお世話になってしまう事も考えられる。
2:「助けて下さい!!」と叫んでみる
…これもダメだ、そもそも周りに人がいないから俺が助けに行こうとしているんだから。これでは世界で愛を叫ぶ映画みたいな状況になるだけだな。
3:「俺の彼女に何してるんですか?」
…あのチャラ男と女性の関係がハッキリ分からない以上、これも言わないほうがいいな。
そんな事を考えている内に、チャラ男の前に到着してしまった。
「あのー、何してるんですか?」
俺はチャラ男に話しかけてみた。
「あ、ナンだよ、消えろよコラ」
イライラした様子で俺を睨み付けてきたので、俺は女性とチャラ男との関係性が分からなかったがこう言ってみた。
「俺の彼女なんですけど??」
相手がどう出てくるか不安ではあったが、
「ちっ、男連れかよ!」
そう言ってチャラ男は去っていった。
ふぅ…後先考えずに行動してしまったが何とかなって良かったとホッとしていると―
「あ、あの助けて下さってありがとうございます!!」
「いえいえ、あれぐらい全然」と言いつつ
あれ、思ったより幼い感じだなーと観察していると、彼女が頬を赤く染めながら突然、
「あなたは私のヒーローです!!」
と言ってきた。
え、俺ってヒーローなの??
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