第2話 数少ない友人

「もしもーし、どした隼人寂しくなったか笑?」

俺の数少ない友人富田勇二は、すぐに電話に出たかと思うとこんな事を言ってきた。

勇二は小中と俺と同じで、高校も同じになるはずだったのだが、親の仕事の関係で遠くに引っ越す事になり今は近くに居ない。

正直、幼なじみのような関係である勇二が近くに居ないのはちょっぴり寂しかったりもするのだが、本人に言うと調子に乗りそうなのでやめておこうと思う。

「あー、実はさ俺高校デビューしたくてさ…どうすれば出来るかな??」

勇二は、俺と違い小学生の頃から目立っていたヤツだったので、アドバイスがないか聞いてみようと思ったのだ。

「え…高校デビュー??隼人が??」

俺から高校デビューという単語が出たのが、意外だったのか勇二はめちゃくちゃ驚きの声を出していた。

「なんだよ…俺が高校デビューしちゃ悪いのかよ…」

そこまで驚きの声を上げられると思っていなかった俺は、やっぱり自分にはムリなのかとさっそくネガティブ思考になりかけた。

だか勇二は「悪いわけないだろー!急にそんな事言うからビックリしただけだぜ!よし、一緒に考えてやるよ!」と言ってくれた。

勇二は、昔から愛想も良くない俺にいつも話しかけてきたり、絡んで来たりしてくれていたので、まったくタイプが違うヤツではあるが、こうして色々な話が出来るようになったのだ。

「見た目はどうだ??髪切れよ隼人!」

俺の前髪目隠しについて言ってきたので、

「あー、それは散髪してきたわ」と返すと、「じゃあそれで良し!!」と言ってきた。

「え、それだけ??」

「髪切ったならそれで大丈夫だぜ!前髪で目が隠れてたのは怖かったからな笑」

「え、他は何かないのか??」

「あとは、笑顔で会話する事!正直これが一番大事だぞ!」と俺が最も苦手としている事を、平然と言ってきた。

俺は、昔から会話するのがあまり、得意ではない。初対面とかだと、緊張で言葉が上手く出せないのだ。

「俺と話している時みたいに誰とでも明るく話せるようになるのが目標だな!!」

「いや、ハードル高過ぎ…」

「とにかく、隼人は優しくていいヤツなんだから変に緊張しないにな」

俺の数少ない長年の友人が、こう言ってくれているのでとりあえずは頑張ってみる事にしようと思う。

「ありがとう、まぁ頑張ってみるわ」

「おう、随時報告してこいよ!!」

こうして、勇二への相談はひとまず終了となった。

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