第57話 VSブラッディマンティス2
身体を鎌で斬り裂かれてしまった。胸の谷間からその下までを容赦ない感じに――。そしてそのまま私はバランスを崩して右肩から地面へと転がってしまった。
ブラッディマンティスの悪意と殺意を肌にビシビシ感じる。
早く逃げないと――。早く逃げないと――。
鎌で追撃されてしまう。私はもがくようにして地面に手をつき膝をつき、どうにかしてブラッディマンティスと距離をとろうとじたばたした。
でも、なかなか前に進まない。完全にバランス感覚を失っている。
四つん這いみたいな姿勢になってもがきまくったら、どうにか一歩だけ前に進んだ。でもそれとほとんど同じ瞬間だ――。
背中に冷たいものが走った気がした。
斬られた――。しかもこれ、かなり深いよ。これは致命傷に間違いない。でも、背中だったせいか傷のわりに痛みは少なかった。
まだ逃げられる。
もがいてもがいて、ちょっとずつ前へと進む。
その間に3回も斬られてしまった。私の身体が傷だらけになっていく。命が終わっていく感じがした。
涙が出てきた。でも、歯を食いしばった。
「うおおおおっ、うおおおおおおおおっ!」
私は立ち上がった。そして、駆け出した。けれど、思った以上に足に力が入ってしまったみたいだった。私としては駆け出したつもりだったのに、なぜかジャンプになってしまっていた。感覚と結果が違いすぎて私は空中で思い切りバランスを崩してしまった。
「うわああああああああっ」
足の力が強すぎたんだろうか。けっこうな大ジャンプになっている。本当に嘘みたいな大ジャンプだ。漫画みたい。
「ええっ、なにこれ。なんで急に私の脚力が上がったの?」
でもそのおかげで助かった。これだけの大ジャンプならブラッディマンティスとの距離が取れる。距離が取れたのなら、態勢を立て直せる余裕が生まれる。
私は両手を地面につきつつ、しっかり両足を着地させた。そして、立ち上がり、すぐに振り返ってハンマーを構える。
「はあっ、はあっ、はあっ」
私の制服の前がはだけた。
ブレザーもブラウスもしっかり真ん中で縦に斬られている。ブラジャーまで斬られていた。私の胸の谷間とお腹が露わになってしまった。
恥ずかしいなんて考えてる余裕はない。
血がじわじわ溢れてくる。
ブラッディマンティスを確認してみる。鎌から赤い血が地面へと滴り落ちていた。
あれは私の血だね。真っ赤で綺麗だなって思うのは私のテンションがおかしくなっているからだろうか。あの血を舐めてみたいって思ってしまうよ。
私の背中が熱くなってきた。
どくどく、どくどく、熱い液体が身体の内から出てきてしまう。そしてスカートに流れて地面に落ちていく。
背中はきっと斬り傷だらけだ。意識したら痛すぎて泣いてしまうと思う。
本当にカマキリってイヤな生き物だ。手が刃物なの本当にやめて欲しい。
でも、私は楽しくなってきた。楽しすぎて心が沸き立つ感じ。これこれ、これだよ。私が求めていたのは命のやりとりからくるこういう緊張感なんだ。最高すぎてついついにやけてしまうよ。
目の端でHPを確認する。
残り11しかないね。文字が赤くなっている。瀕死の状態だ。
「え、瀕死――?」
あ、そうか。分かった。スキル〈逆境時強化〉が発動したんだ。HPが少なくなるとステータスが1.5倍になるんだったっけ。
「あのスキル、取っておいてよかったな」
おかげで不格好だけど大ジャンプができて、ブラッディマンティスの間合いの外に出ることができたよ。
私の血がポタポタと地面に落ちていく。出血量が尋常じゃない。小さい水たまりみたいになっていく。
「ふふふふふ……。ふふふふふふ……」
どうしよう。どうしよう。どんどん楽しくなってきちゃったんだけど。
心の奥底からとことん暴れまくりたいって気持ちばかりが湧き出てくるよ。その気持ちがぜんぜん止められない。止めるつもりもない。
私、ニヤニヤした。これでこそダンジョンだ。もっと、もっとこういうのが欲しい。私をもっと興奮させて。そうしたらもっともっと心が熱くなっていくから。
私の戦意が上がっていく。
ブラッディマンティスは私がギラギラと闘争本能を高めていることを察知したようだ。両方の鎌を持ち上げて威嚇をしてきた。
いいね。ますます闘争本能が高まるよ。
私はハンマーをブラッディマンティスに向けた。
「今度はこっちが攻撃する番だからね。容赦なんてしてあげないから。覚悟してね!」
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