第46話 服の修繕
ポーションが3個できあがった。経験値が入ってレベルが45になったことを告げるメッセージが現れた。スキルポイントも獲得したよ。
オーシャンメタル採取のクエスト報酬でもスキルポイントが5入ったし、ぜんぶ合わせると〈ポーションクリエイト〉のスキルレベルをアップできるくらいにポイントがたまっている。
さっそくスキルレベルをアップさせた。
「おお! おおおおおお!」
嬉しいメッセージを見ることができた。
『ポーションの作成時間が20分に短縮されました』
「またポーションの作成時間が短縮したー!」
嬉しい。嬉しい。超嬉しい~~~~~!
小躍りしたくなるくらいに嬉しい。本当に小躍りしちゃった。
なんかジーッとスライムに見られていたから、小躍りしながら足でぷちっと潰しちゃった。マナの輝石がドロップしたのもまた嬉しいな。小躍りしながらしっかり回収しておいた。
「これでポーションを作るペースがまたアップするよ~!」
ポーションを作るたびに経験値がより入るようになるし、お金だってより稼げるようになる。私にとって良いことしかないよ。ますますダンジョンに来るのが楽しくなるね。
あと、すっかり忘れていたけど、スキル〈逆境時強化〉のレベル10をスキルポイント1で習得できるって強調表示されていた。
「ちょうどスキルポイントが1だけ余ってる。どうしようかな」
今までスキルポイントは全て〈ポーションクリエイト〉に使ってきたんだよね。たとえ魔法を覚えたくてたまらないときでも、あるいは便利なスキルを習得したいときでも、私はずっと〈ポーションクリエイト〉を優先してきた。
その私が〈逆境時強化〉を習得するってどうなんだろうか。
「うーん……。やっぱり後でリルリルさんに相談しよう……」
私、こういうのにまったく詳しくないし。ちゃんと知識がある人の助言を仰いでから判断したいかな。
別にすぐに決めないといけない類のものでもないし。リルリルさんならきっと適切な助言をしてくれると思うから。
△
ようやく広場へと戻ってきた。
わいわいがやがや、ここはいつも賑やかでちょっと嬉しくなるし、帰ってきたーって思えるからホッとするんだよね。
ちょうど今頃は社会人や大学生のお兄さんお姉さんたちが来る時間だろうか。地元の学校の制服やジャージを着ている人たちは少なくなってきたかな。大人の割合が多くなってきて、広場にいる人たちの年齢層が少し高めになってきた感じ。
レディーススーツ姿でヒールのついた靴を履いた女性が、私の横を嬉しそうに歩いて行った。これから仕事のストレス発散に行くんだろうか。そういう顔をしていたね。
「いくらなんでもヒールつきの靴はダンジョンには合わないんじゃないかな……」
まあ私も制服でダンジョンに来てるし、似たようなものかもしれないけどさ……。
「ダンジョンに着替えられるところができたらいいのにな」
かなり需要は高いと思うんだけどな。誰かがいつか対応してくれるのを期待するしかないか。
さて、高校生の私はそろそろ帰った方がいい時間かな。広場で用事を済ませたら今日の冒険は終わりにしようか。
ひとまずはマルタさんのところへとやってきた。ハンガーラックに服がいっぱいかけてある露店だ。
「こんにちは、マルタさん」
「は~い、こんにちは、紗雪さんー」
私の名前を覚えていてくれたみたいだ。ちょっと嬉しい。
「制服、破けちゃいました?」
「そうなんです。けっこうひどい感じなんですけど……」
リュックからボロボロの布切れを取り出した。これはさっきまでブレザーとブラウスだった布切れだ。
「これは見事な破れっぷりですね」
「直せそうですか……?」
「はい、どんとこいですよー。これだけ布があればちゃちゃっと直せちゃいます」
「すごっ。さすがマルタさんです」
「ふっふっふ。ダンジョンフォークの伝統技術は伊達じゃないのですよ」
マルタさんが胸を張ってドヤ顔を見せてくれた。すっごく可愛かった。
「ではマルタさん、制服の修繕をお願いできますか」
「はい、もちろんですよ。一日でしっかり修繕しますので、明日取りに来てくれますか?」
「分かりました。よろしくお願いしますー」
4000ポン、支払った。ブレザーとブラウスを新しく買うよりも断然安いね。
ただ、今日のクエストだけの収支で言うとマイナスだ。もうちょっと服は大事にしようって思った。
明日からまたポーションを売ってしっかり稼がないとね。
さあ、次はリルリルさんのお店に行こうか。
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