第24話 紗雪のくつろぎタイム

 部屋着をグイッと持ち上げて脱ぎ去った。花柄模様のブラジャーに包まれたDカップの乳房がぽよんと躍り出る。

 ホットパンツを脱ぐと花柄模様のショーツが露わになった。


 ブラジャーのホックを外すとおっぱいが外気にさらされた。ショーツも脱ぎ去る。

 そして、私はお風呂に入った。

 シャワーを頭から浴びる。


「あ~、気持ちいい~」


 よく動いた日のシャワーは気持ちいいよね。

 髪と身体を丁寧に洗う。それから髪をぐるぐる巻いて、私は湯船に入った。

 私はけっこう長風呂派なんだよね。心も身体もお湯に溶けるようにして、長時間ぬくぬくしてしまう。

 あと、暇だと感じても大丈夫なように、お風呂用のケースに入れてスマホを持ってきているよ。


「あ~、極楽♪ 極楽♪」

 スマホを操作する。ユーチューバーの動画を見るとかじゃないよ。ダンジョンの攻略情報を見るんだ。


「ダンジョン内でもスマホに電波が届くといいんだけどねー」


 ダンジョン内ではスマホは使えないんだよね。だから攻略情報はダンジョンの外にいるときに予め確認しておかないといけない。私はお風呂の時間とか学校の休み時間のときに攻略情報を確認しておくことが多いかな。


「あったあった。フレアリザードの攻略情報」

 なになに。攻略推奨レベルは30。それはリルリルさんに聞いた情報だね。他には――。


「やたら首を狙って噛みついてくるから注意しろ。噛みつかれたら即死もありうるから、必ずガードしろだって」

 いやー、危なかったよね。私も危うく首を噛まれるところだったよ。弱肉強食の世界だと急所を狙ってくるのは当たり前のことなんだろうね。


「あと、距離があるときには熱線を吐くから気をつけろって書いてるね。大やけど確実だからだって」

 あれはびっくりしたし熱かった。服がボロボロになったのはすごく悲しかったな。

「要注意事項があるね。火薬花のつぼみがあるところでは熱線による高熱で誘爆することがある。だから絶対に火薬花の群生地帯では戦わないこと。戦うやつはバカ」

 だってさ。へえ、そうなんだ。


「私、バカだったんだ……」

 ちょっと落ち込んだ。

「まあでもいいか。バカやってるときが人生で一番楽しいと思うし」

 湯船にぬくぬくつかりながら続きを読み進める。


「フレアリザードは初心者卒業の試練みたいなモンスター。ソロ討伐できるくらいに強くなれたのなら思い切って行動範囲を広げてみても大丈夫。へえー、私ももうちょっと行動範囲を広げてもいいんだ」


 今までは入り口からわりと近い場所だけにしてたんだよね。

 具体的に言うと、広場から歩いて30分くらいのところまでしか行かないことにしていた。30分くらいの距離ならそんなに強いモンスターに出会うことはないからね。


「広場から1時間以上歩いた先に行くと危ないんだよねー」


 1時間以上歩いた先は、初心者にとってのレッドゾーンって言われている。レッドゾーン、つまり危険地帯だ。出会ったら死を覚悟しないといけないような危ないモンスターがわんさか出てくるらしい。

 地球で例えると、ライオンとかワニの巣に入っていくような感じらしい。


「私は高校に入学してすぐのときに、初心者の状態でレッドゾーンにおきざりにされたんだよね……」


 あのクラスメイトたちには今でも本当にむかついてる……。すごく根に持っているよ。

 湯船に沈んで息を吐き出す。ぶくぶくぶくと不満げな泡が上がってきた。


「まあでも、あれから頑張ったし、今はちょっとは強くなってきたよね……」


 おかげでダンジョン攻略が楽しくなってきた。

 フレアリザードを倒した私はもう初心者ではないんだし、もう少しくらいは行動範囲を広げてもいいのかもしれないね。

 そしていずれはレッドゾーンに再挑戦する――。

 そう考えると明日からのダンジョン攻略がますます楽しみになってきた。


「よーし、明日も頑張るぞー」

 私はお湯につかりながら高くガッツポーズをした。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る