第22話 火薬花ゲットのクエスト達成!

 心臓がバクバクしている。

 命のやりとりをした反動で落ち着かない。

 あ、メッセージウインドウが表示された。


『フレアリザードを討伐しました』


 だってさ。あの赤いトカゲはフレアリザードっていう名前だったんだね。名前からして強そうなモンスターだ。

 倒したことでけっこうな経験値が入ったみたい。でもレベルが上がるほどじゃなかった。


 ふう、少し落ち着いてきたかな。

 私は両足で立ち上がった。

 うあー、ダメだ。少しふらついてしまう。残りのHPは一六。私の今の最大HPは七九だから五分の一くらいかな。そりゃあ、ふらふらになるよね。

 ポーションを飲んで回復しよう。それから火薬花をゲットして――。


「なんかスースーする」


 自分の身体を見てみた。

 ギョッとしてしまった。

 命のやりとりに興奮しすぎて忘れていた。そういえば私、ブレザーもブラウスもボロボロだったんだった。特に右半身は酷い。胸から袖のところまでの服がぜんぶなくなっている。


「お花模様のブラジャーまで丸見え……。これじゃあ外を歩けないよ」

 ひきしまっていないお腹だって丸見えだし。ただ、スカートが無事なのはホッとしたかな。


「先に着替えようっと」


 着替えを持ってきておいてよかったよ。なかったらブラジャーとお腹を丸出しで帰らないといけないところだった。

 まあ、着替えって言っても体操服のジャージだからダサいんだけどね。

 私はボロボロのブレザーとブラウスを脱ぎ去った。


「はわーっ。不思議とすごい開放感~」


 深呼吸なんてしてしまった。

 外で上半身が下着姿って人生で初めてかも。なんだかすっきりするし、気持ちがいい。

 いっそこのままでもいいかも。ゲームとかアニメでビキニアーマーを着ている人たちはこういう気持ちになってるのかなって思った。

 って、開放感を堪能している場合じゃなかった。ここはダンジョンだ。油断してたら男の人とかモンスターが歩いてきちゃう。


「ジャージ、ジャージ……」

 ジャージを取り出して袖に手を通した。そしてチャックをしっかりと上げる。


「服を着ると安心感があるね」

 逆に開放感は微塵もないけどね。本当は気分的には何も着たくなかったな。

 おっと、足元がふらついた。


「ポーションを飲もうっと」


 アイテム空間から瓶に入ったポーションを取り出した。それをいっき飲みする。グビグビグビッと我ながら素晴らしい飲みっぷりだ。

 ちょっとだけ口の端からたれてしまった。

 顎を伝って身体に落ちて、乳房の間を通ってお腹に到達する。


「水滴のひんやり感がちょっと気持ちよかったかも」

 おお……。おおおお……。おおおおお……。キタキタキターッ。

「生命力がみなぎってくるーっ」


 元気になってきた。全快だ。今ならなんでもできる気がする。空だって飛べちゃいそう。やる気までアップしている気がする。

 私はジャージの袖を少しまくった。その方が気合が入る気がしたから。


「よーし、やるぞー!」


 火薬花のつぼみをゲットしまくるんだ。

 ポーションのおかげで元気もやる気もいっぱいだし、キビキビ動いていたらあっという間に目標の二〇本をゲットすることができたよ。


「クエスト達成~!」

 あとは帰ってリルリルさんに納品すれば終わりだ。

「う~ん、なんだか物足りない」

 ポーションを飲んで元気になりすぎたみたいだ。もう少し探検してから帰ろうかな。


 ……ん?

 奥の道から、フレアリザードが平和そうな顔をしてトコトコ歩いてきた。周囲を確認してから私の方へと向かってくる。きっと火薬花のつぼみを食べに来たんだろう。

 うむむ、元気になりすぎた私だけども……。


「あんな強いのと連戦はできないよ」

 ジャージまで燃やされちゃったら帰るとき裸になっちゃうし。花の女子高生はそんなかっこうで家まで帰るのは無理だ。


「ここはおとなしく退散だね」


 私は来た道へと小走りで向かった。

 おっと、使った分のポーションをクリエイトしておかないとね。私は歩きながら〈ポーションクリエイト〉を発動した。広場に戻ったらこのポーションをリルリルさんに売ろうっと。



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