第17話 スキルレベル15
毎日毎日、飽きもせずにダンジョンへと足を運んでいる。ポーションを二つ同時に作れるのが楽しくて楽しくてたまらないんだよね。
「ポーションを売ったときの稼ぎが二つ分~」
これが良い稼ぎになるんだ。
「経験値だって二つ分~」
おかげでレベルアップのスピードがいい感じだ。
あとリルリルさんから聞いたんだけど、お客さんはダンジョンに来るとまずはポーションを買い求めるんだそうだ。だからいつもポーションはすぐにはけちゃうんだって。その関係で、私のポーション生産能力が上がるのは本当に大歓迎ですって喜んでいた。
ダンジョンフォークの里でもポーションは作られているらしいんだけど、スキルに頼らない手作業だから短時間での大量生産はなかなかできないんだそうだ。
「私の〈ポーションクリエイト〉が誰かの役に立ってるなんて、本当に嬉しいしやりがいがあるよね~」
やりがいを感じているのも、私が毎日のようにダンジョンに来る理由になっていたりする。
あ、ポーションができた。
またリルリルさんのところに売りに行こうっと。それからまたすぐにポーション同時作成をしようと思う。
「今日はあと二回くらい売れるかなー」
メッセージウインドウがレベルアップを教えてくれた。やった。この瞬間がたまらなく嬉しいよね。
これでレベル28。どんどんレベルが上がっていく。楽しすぎるー。
スキルポイントは〈ポーションクリエイト〉に投入したよ。こっちもレベルアップだ。
あれ、いつもと違うメッセージが出てきたんだけど。
『ポーションの作成時間が25分に短縮されました』
「え――」
目を疑った。もう一度ちゃんと読んでみた。読み間違えじゃないみたい。
「〈ポーションクリエイト〉の実行時間が5分も短縮されたの? え、本当に? 今までは30分だったのが、これからは25分でポーションを作れるってこと?」
どうしよう。嬉しくてにやけてしまう。
この嬉しさを誰かに伝えたい。
ダッシュで広場に戻ろう。広場には私の唯一の話し相手のリルリルさんがいるから。
私はけっこうなスピードで道を戻って行った。
思ったよりも早く広場に戻ってくることができたね。リルリルさんの露店へと私は速度を落とさずに向かった。
「リルリルさーん」
「わあ、どうしましたー。そんな大急ぎで」
私は両足を使った急ブレーキで止まった。
「もしかして良いことがあったんですか?」
私の表情を見て察したみたいだ。
「はい。ありました!」
息を切らしながらリルリルさんに顔を近づける。ちょっと興奮してるからいつもの会話の距離よりもだいぶ近いと思う。
「ポーションの作成時間が5分も短かくなったんですよ!」
「わあ、ついにそこまできたんですね! おめでとうございますっ」
「ありがとうございますっ。短縮されるって素晴らしいですよねー」
「とても素晴らしいことですねっ」
私のニコニコ顔につられてリルリルさんも笑顔になってくれた。
「うふふ、紗雪さん、本当に嬉しそう」
「はい、すっごく嬉しいですよ~」
「〈ポーションクリエイト〉って、スキルレベルが上がれば上がるほど生産力がアップしていくんですよね。ですので、これからもっともっとポーションを作りやすくなっていきますよ」
「5分短縮されただけでも嬉しいのに」
嬉しさがさらに込み上げてくる感じだ。
「これからもっとレベルを上げていけば、これよりもさらに作成時間が短かくなっていくってことですよね」
「はい、どんどん短かくなっていきますねー」
びっくりだ。一日に作れるポーションの数が増えていくんだね。私にとっては旨味しかない話だよ。ついつい頬がゆるんでにやついてしまうね。
「それ、すごいですね。うふふふふふ」
「ええ、とってもすごいことですね。うふふふふ」
私につられたのかリルリルさんもにやついていた。
二人でにやついた顔を見せ合う。知らない人から見たら変な二人に見えているかもしれないね。でもそう見られても構わないくらいに、私は本当に嬉しくて嬉しくてたまらなかった。
ステータス
■レベル28
・HP 79
・攻撃 31
・防御 32
・敏捷 41
・魔法 29
・技術 68
■スキル
〈ポーションクリエイト〉 レベル15
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