第3話 ポーションの素材をゲット!

 ポーションをスキルで作るために必要となる薬草はゲットできた。次はマナの輝石っていうのを探さないといけない。

 説明によると、モンスターを倒したときにわりとよくゲットできるんだって。


「弱いモンスターを倒せばいいんだよね」

 問題はマナの輝石がどういう見た目をしているのか分からないってことだ。


「まあ適当にモンスターを何回か倒してみればいいか」

 薬草をゲットした小さな泉から少し離れる。

「たしかあのへんに……」


 この泉に到着したときに小さいモンスターを見かけたんだよね。すぐに岩場の影に隠れちゃったけど、まだそこから動いてなければ……。


「ああ、いたいた」

 ゲゲッ、見つかっちゃったって顔で私を見上げる小さいモンスターがいる。ちょうど私の両手の平を広げたくらいの大きさのモンスターだ。


「スライム発見だね」

 さすがにスライムなら私でも倒せるはず。だってスライムだもの。日本では弱いモンスターとして数々のエンタメ作品で描かれる常連モンスターだ。


「ということで、はい、さようなら」


 私はスライムを右足で踏んづけた。そして、足でうりうりする。

 するとシュ~ッとスライムから何かが抜けていく感覚があった。生きる気力か何かだろうか。

 足をあげてみると、どろりとした液体みたいなものが広がっていた。


「倒せたのかな」


 もはや完全に原型をとどめてないし。

 でもマナの輝石っぽいのがないね。どろりとしてねばねばした液体があるだけだ。手で触ってみると『スライムをアイテム空間に格納しますか?』とメッセージウインドウが聞いてきた。


「うえー、こんなばっちいのいらない」


 たいしたお金にはならなそうだしゲットはしないでおくよ。

 ちなみにアイテム空間は異次元にある私専用の空間らしい。そこに物を収納しておけるけど、容量が小さいからあんまり気軽には使えないんだよね。


 リュックに入れて持って帰る手もあるけど、まあスライムはいらないかな。その気になれば自分で作れるし。

 ちょっと懐かしいな。小さい頃に夏休みの子供体験会的なので作ったことがあるんだよね。けっこう楽しかった。


「というわけで、次のスライムを探しに行こうっと」

 あ、奥の道から一匹やって来た。

 私に見つかるなんて運がないねー。生命の危機だとも知らずにぴょんぴょん跳んで小さな泉を目指している。


「あんなぬめぬめボディでどうやってジャンプしてるんだろう」

 そもそも水を飲む必要があるんだろうか。疑問はつきない。まあなんでもいいか。

「えいっ」

 私はスライムを踏んづけた。


「残念。またマナの輝石は出なかったかー」


 よく考えたら足を大きく上げてスライムを踏んづけるってどうなんだろう。スライムって目があるんだよね。


「絶対に見られてる……」

 私のスカートの中の……何とは言わないけども……。

「今日のって見られて大丈夫なのだったっけ」


 誰もいないのを確認してから、柄をチェック。……んー、及第点。これならスライムに見られてもまあいいか。


「って、私はなんでスライムに対して羞恥心を抱いているんだろうか」


 気持ちを切り替えてスライムを探す。このあたりにはもういないみたい。

 もう少しだけ先に行ってみることにした。

 あ、道の途中にスライムがいた。ボケーっとどこかを見ている。

 私はそーっと近づいてスライムを踏み潰した。そのときにスライムの目がきょろっと動いて間違いなく私のスカートの中を見ていた。


「いやん、えっち」


 足の裏でうりうりしてやるぞ。それー。

 よし、倒せたー。足をどけてみると何やら輝く物があった。きらっきらだ。眩しいくらい。


「これかな。マナの輝石」


 手に持ってみたらお星さまみたいだった。手の平サイズでトゲトゲで、温かい光を放っている。まるでエネルギーそのものが形を持って輝いているみたいに思えた。


「けっこう綺麗だね」


 夜に部屋に置いたら良い間接照明になるかもしれない。オンとオフがないのがちょっと残念だけど。

 私はサメのリュックの口を開けた。マナの輝石を入れておく。

 リュックからは光が漏れてはこなかったから恥ずかしくはないかな。

 よし、これで素材集めは完了だね。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る