第2話 ポーションの作り方

 ダンジョンの入り口から少し進むと天井の高い広場に出る。学校のグラウンドよりもだいぶ広い場所だと思う。

 その広場には人がたくさんいて、みんな思い思いにおしゃべりを楽しんでいたりする。ちょっとうらやましいけど、声をかけて混ざる勇気は私にはないかな。


 広場に多数ある露店をちらちら見ながら一人で歩いて行く。

 露店では冒険に必要なものを買えたりとか、ダンジョンでゲットした戦利品を売ったりとかできる。私も遠からずお世話になるんじゃないかな。


 少しずつ気分が高揚してきた気がする。ダンジョンってみんなの活力とか闘争本能にあてられるのかちょっと元気になれるんだよね。

「えーと……、ステータスって強く念じると目の前に画面が出たはず」

 よし、ちゃんと出た。


ステータス

■レベル1

・HP 20

・攻撃 1

・防御 1

・敏捷 1

・魔法 1

・技術 1

■スキル

 〈ポーションクリエイト〉 レベル1


「たぶん、私は雑魚中の雑魚……」


 体育の授業でいつもしょぼい成績だから知ってはいたけどね。技術は手先の器用さだろうか。まあそれも学校の授業とかでダメダメなのは知ってるよ。

 私、勉強はけっこうできるんだけどね。それはダンジョン攻略には何も役に立ちそうにないね。


「えーと、たしかネットで見た情報によると、スキル名をタップすると詳細な情報が出る。あ、出た」


 えー、なになに。

 スキル〈ポーションクリエイト〉はポーションを作ることができる優秀なスキルです。


「ハズレってもっぱらの噂だけど……」


 どうせぜんぶのスキルに優秀って書いてあるんだろうね。きっとそうだ。

 説明の続きを読む。

 ポーションを作るには素材と空き瓶が必要です。どちらもダンジョン内で入手してください。


■必要な素材

 そこらへんにちょいちょい生えている薬草。

 モンスターを倒したときにたまに得ることができるマナの輝石。

■空き瓶の入手方法

 イベントクエストの報酬などで入手することができます。また、非常に稀ですがダンジョンに住む現地人から購入することもできます。


「現地人なんているんだ」


 あ、でもネットに書いてあったかも。ダンジョン内ではファンタジー世界の住人みたいな変わった種族と会うことがあるって。


「日本語は通じるのかな」

 会ったら試しに話しかけてみようかな。そんな勇気が出るかはちょっと謎だけど。

「ん? なにやら目の前にメッセージウインドウが現れたんだけど」


『空き瓶をゲットできるボーナスクエストを受注することができます』


 選択肢が出てきて『受注します』『あとにします』ってあった。

 とりあえずあとにしよう。まずは簡単なことからやってみたいし。


「というわけで、まずは薬草を探しに行こう」


 広場を離れていくつかある道の一つを進んでいく。ちなみに、一番真ん中の道を選んだ。ちょうどそこに向かう人たちが多かったから、もし何かあっても誰かが助けてくれると思ったからだ。

 でも、その選択は失敗だったかもしれない――。


 岩の陰とか、植物が生えているところをチェックしてみたんだけど、どこにも薬草が見つからなかったからだ。

 人が多いように見えた道だし、きっと他の人たちが先に取ってしまったんだね。

 もっと奥に行けばあるんだろうけど、一人で奥に行っても大丈夫だろうか。モンスターとかたくさん出てくるよね。奥に行くほど命の危険があるってよく聞くし。


「まあいいか。いざとなったら走って逃げればいいし」

 そして、15分後――。

「あったあった。けっこういっぱいあるよ」


 薬草を5本もゲットできた。小さい泉の傍にできていた。もしかしたら水場の傍に多いのかもね。


「よーし、次はマナの輝石だね」



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る