第25話 作戦

 ようやく、終わりました……。

 わたし達は、術の使い方をキキくんに教わった。

 あれが、かなり難しい。

 でも、二人で練習しているうちに、上手く使えるようになった。

 キキくんにも、心配いらないって言われたし、きっともう大丈夫。

「お待たせしました」

「ただいま」

 わたしは、かおるちゃんと一緒に、みんなのいる家に入った。

「帰ってきたな。それじゃあ、作戦を話そう」

 ユウハちゃんが、わたし達を椅子に座らせる。

 それから、コホンと咳払いした。

「――そのまえに、僕らの目について話しておこう」

 作戦じゃないんかい、とつっこみたくなるのをこらえて、ユウハちゃんの話に耳を傾ける。

「僕らの目の色は、おかしな色をしているだろう。これは、所持している術の種類の色が、目の色に反映されているからだ」

 目の色と、術に関係があるの?

 わたしは、毎朝、鏡で見る自分の目を思い出してみる。

 わたしの目は、水色。

 それで、持っている術は『氷の術』。

 さっき使ったときは、本当に、氷がでた。

 氷のイメージって、水色や透明――本当だ。

「キキくんは、光の術の使い手だ。光は黄色――だから、目の色も黄色になった」

 ユウハちゃんは、キキくんの絵を描いて見せた。

「ミライは、闇の術の使い手だ。闇の術は紫色をしている。つまり、目の色は紫になる」

 今度は、ミライくんの絵を描いて、説明した。

「ここからが、めんどくさい」

 まずは、三つ子の絵を描いた。

 それから、説明を始めた。

「僕らは、全ての術を持っている」

 今、なんと……。

『えぇっ!?』

 地球人の声が重なった。

「チートじゃん!」

 夢叶が、目を丸くしながら言った。

「ああ、そうだ。だから、オッドアイなんだ」

 それは、一体どういうことですか?

「1つの個体に、いくつかの術を所持していると、術の力の強さに優劣がつく。僕が持つ術では、1番に『水』、2番に『火炎』が強い。その特徴は、目に現れる。所持者からみて、右目が最も強い術の色。左目が、その次に強い術の色となっている」

 ユウハちゃんは、身振り手振りをつけながら話す。

「同じくして、シュウヤは右目が『火炎』の色、左目が『闇』の色。キララは、右目が『癒やし』の色、左目が『水』の色」

 そうか、見たらわかるんだ。

 争いの星の人たちには、誰が術を使えるのか、一瞬で判別がつく。

 隠すのなんて無理。

「そういうこと。かおるちゃんも、同じ原理ね」

「そっか。だから、お母さんとお父さん、どちらとも違う目の色だったんだね」

 かおるちゃんも、納得したみたい。

 ユウハちゃんは、それを確認する。

 そして、作戦を話し始めた。

「作戦は、こうだ。――正面突破」

『……え?』

 し、正面突破?

 みんな、「え?」って言いましたよ?

 あまりにも無謀なんじゃ……。

「まず、アイザード星に行く。そこで、アイザード星を支配する、争いの星の部隊を正面から破壊。争いの星のシステムを聞き出し、争いの星へ向かう。そこで、ボスに宣戦布告だ。争いの星のボスは、ただの人間。勝負は、あっという間に決まる」

 ボスが、ただの人間……。

 みんなの不安が、より一層強くなるのを感じた。

 ボスがただの人なら、何か恐ろしい兵器を使ってくる。

 きっと、そう。

 大丈夫なのかな。

「みんな、大丈夫だ。お願いだから、ついてきてくれ」

 ユウハちゃんは、不安そうだ。

 当たり前だ、と自分に言い聞かせる。

 ユウハちゃんだって、人なんだから。

 わたし達は、うなずきあった。

「わかりました。その作戦、やりましょう」

 全員の意志が、固まった。

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