転校生のお話②

第20話 秘密

「ここだね。ミライくん達の家」

 僕――絆は、いつものメンバーで、ミライくん達の家にやってきていた。

「よぅし、絆、チャイム押してっ」

 え、僕?

 僕は、黙り込む。

 なんで僕なの?

 僕がチャイムを押す理由は?

 だいたい、僕が人見知りなの知ってるよね?

 他人の家のチャイムを押すことさえ、僕にとっては難易度が高いんだよ。

「知ってる。だって、あたしお姉ちゃんだもん」

 鈴那は、胸を反らす。

「なら、どうして」

「絆の成長のため」

「うわぁ……」

 しょうがない……。

 僕は、チャイムの前に立つ。

「……」

 心臓が爆発しそう。

 息苦しい。

 なんでこんなことで緊張しちゃうんだろうか……。

「……よし」

 左手をギュッと握りしめて、右手の人差し指でチャイムを押そうと、手を伸ばした――そのとき。

「いらっしゃい」

 ガラッと玄関が開いた。

「うわあぁぁぁぁぁっっ!!!??」

 いって……こけた……。

「大丈夫か? 絆くん」

 冷たく、心に刺さってくる声。

 聞いたことがない声だ。

「だ、大丈夫です……」

 僕は、ゆっくり立ち上がる。

 その後、声の主を見た。

「………………どちら様でしょうか……」

 そこにいたのは、見たことがないほどの美少女だった。

 横髪を左右両方三つ編みにしていて、後ろ髪は1つ――お団子ヘアにしているようだ。

 正直、鈴那よりも可愛いと思う。

 まるで外国人のような顔立ちで、まつ毛が長い。

 それにしても、青と赤のオッドアイって、ユウト先輩みたいだな。

 ……ユウト先輩みたい?

 ちょっと待て。

 水色のパーカーも、背丈も、髪の色も、そのままユウト先輩だ。

 まさかだけど……。

「あの、もしかして……ユウト先輩、ですか……?」

 僕が恐る恐るきくと、彼女はほほ笑んだ。

「その通り」


 ☆


「上がって」

『おじゃまします……』

 僕達は、声をそろえて源家におじゃまする。

 いたって普通の外見の家だったんだけど、実際中に入ると、ガラリと雰囲気が変わった。

 玄関には花、廊下の壁には多くの絵画が飾られている。

「すご……」

 僕の後ろで、ななみが呟いた。

「なあ、絆。この家、変な感じしねえ?」

 夢叶が、僕に話しかける。

「変な感じ?」

 それは……そうだね。

 頭がフワフワする。

「あら、ごめんなさい。地球人には有害だったわね」

 この声は、キララ先輩かな。

 姿が見えないけど……。

「ここにいるわ」

 左の扉が開いて、キララ先輩が顔を出した。

「わ゛ーーーーっ!?」

 び、び、ビックリしたぁ……。

「絆、昔からビックリ系が苦手よね」

 鈴那、冷静に考えなくていいから……。

 ――じゃなくて。

「キララ先輩、地球人って言いました……?」

 それって、一体どういうこと?

 いや、想像はついた。

 でも……それが、本当にありえるのかな……と。

「絆の想像通りだよ」

 シュウヤ先輩がやってきて、僕らを見据えた。

 いつからいたのか、ミライくんと、キキくんもいる。

 彼らを代表して、ユウト先輩が言った。

「僕らは、異星人だ」

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