第18話 本番直前

「そこ、もうちょっと腕の角度を……」

 今わたしは、ユウト先輩指導のもと、舞の練習中。

 これが、なかなか上手くいかない。

 でも、わたしのお役目なんだから、頑張らなきゃ!

 そうして、日々練習を続けているうちに、上手くいくようになった。

 ユウト先輩は、毎日うちに来てくれて、わたしに舞を教えてくれる。

 休憩の合間には、お母様がアイスを持ってきてくれて、二人で食べた。

 ユウト先輩は、最初アイスを見て、「何、これ」って言ってて、アイスを知らない子がいるんだなあって思った。

 世界は広いんだね。

「――よし。これで、一通りはおしまい」

「や、やっと……」

 わたしは、地面に座り込んだ。

 ようやく舞の全てが終わった。

「それじゃ、通してみようか」

「はい!」

 私は、立ち上がって大きく返事をした。



 一通り通し終わったころ、時刻はもう夕食の時間だった。

「……お腹すいた」

 ユウト先輩が、ポツリと呟く。

「帰る。舞はできてたから、本番でも今日みたいにやれば大丈夫だよ」

「あ、ありがとうございます!」

 本当に、助かった。

「あの、絶対に見に来てください! わたし、頑張ります!」

 わたしが言うと、ユウト先輩はほほ笑んだ。

「期待してる」

 本番も、頑張らなきゃ。

 わたしは、決意を固めた。



「すー……はー……」

 本番直前、わたしは深呼吸していた。

 本番だもん。緊張してしまう。

 手順は、舞を踊って、髪を切ったあと、捧げて終了。

 あとは、お父様がお話をする。

 わたしは、自分のやるべきことをすれば大丈夫。

「ユウト先輩が、手伝ってくれたんだから」

 わたしは、ステージに向かって、歩みを進め始めた。

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