第6話 クラスメイトの3人組

 次の日。

 わたしは、学校の屋上にいた。

「あんた、ぶりっ子だよね」

「キッモ」

「らんと、キャラかぶってるんですけど」

 この三人は、セリフ順に紹介すると……

 1人目、中野なかの美空みそらさん。

 2人目、谷山たにやま千秋ちあきさん。

 3人目、山瀬やませらんさん。

 転入したての頃に、鈴那ちゃんから教えてもらったの。

 3人は、いじめっ子なんだって。

 いつも3人で行動してて、人の悪口を言うの。

 みんなに嫌われてるんだ。

 それで、どうしてわたしが、ここに呼ばれたのか……。

 それは、わたしにもわからない。

 何かしたっけ。

 どんなに考えても、わからない。

 ただ、縮こまることしかできない。

「なんなの? その『ふえ』って」

 口癖です。

 小さい頃から直らない。

「何語?」

 日本語です……。

「らんちゃん、こわぁい」

 どういうことだろう……。

「あんた、そんなに『可愛い』って言われたい?」

 可愛いって、言われたい。

 だって女の子だもん。

 でも、わざと可愛くしてるんじゃない。

「ブース」

 正直……わたし、前の学校ではモテてました。

 ごめんなさい。

 事実なのです。

 絶対に、みんなには教えないけどね。

「らんちゃんは、かわいい♡」

 どうぞ、ご自由に。

「……」

「何か言いなさいよ」

 もしかして……わたし、いじめられてる?

 ううん。

 勘違いだよ。

 たまたま。

「バーカ」

 らんさんが、わたしに水をかけてきた。

 頭から濡れる。

「アハハハハッ!」

 3人は大笑いして、屋上から出ていく。

 屋上の鍵を持っているのに気がついた。

「待って……」

 閉められちゃう!

 けれど、3人は無慈悲にも、屋上から出ると鍵をかけた。

「どうしよう……」

 わたしは、地面にへたり込む。

 頭は真っ白だ。

 その時、ガチャリと音がした。

「――かおる!」

 あ……れんくん……。

「大丈夫……じゃないよな。けど、もう平気だよ」

 彼は、わたしに笑いかけてくれた。

「どうして、ここがわかったの? 鍵もかけられてたし……」

「あー、それ? 女子3人が、笑いながら教室に来てさ、何かやったなと思って。そのくらい、評判わりーから。それで聞き出した」

 そっか……。

 それで……。

 良かった。

 このまま、ずーっと一人かもって……。

 わたしの視界が、滲み出す。

「え!? 泣くなよ……平気って言ったろ? 大丈夫だって」

 れんくんは、わたしを元気づけてくれたのでした。

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